日本気管食道科学会会報
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61 巻, 6 号
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原著
  • 田口 享秀, 佃 守, 長尾 淳一, 近藤 律男, 佐久間 直子, 新居 葉子, 荒井 康裕, トート ガーボル, 西村 剛志, 堀内 長一 ...
    2010 年61 巻6 号 p. 483-492
    発行日: 2010/12/10
    公開日: 2010/12/25
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    喉頭・下咽頭癌症例に対するconcurrent chemoradiotherapy (CCRT) により温存された喉頭の機能評価を行った。1998年10月から2003年9月までの期間に切除可能な喉頭・下咽頭扁平上皮癌病期II~IV期で一次治療としてCCRTを施行した32症例を対象とした。この32例中,すべての調査・検査に参加可能であったのは20例であった。喉頭機能の評価方法としては,アンケート調査,GRBAS尺度,最長発声持続時間,声域・話声位の測定,嚥下機能評価基準の栄養摂取方法,および気管切開孔の有無に関して検討した。喉頭・下咽頭癌のCCRT後は,大多数の症例で種々の程度の嗄声が認められ,また声域が狭まる症例があるが最長発声持続時間は75%の症例で正常範囲内であった。一方,1例を除くすべての症例 (97%) で,誤嚥性肺炎の既往なく経口摂取が可能となっていた。喉頭癌症例中2例で気管切開孔が閉鎖できなかったが,大多数の症例で喉頭の呼吸機能は温存されていると考えられた。
  • 高山 賢哉, 三輪 正人, 若山 知薫, 高山 明美, 池上 岳, 相良 博典, 渡辺 建介
    2010 年61 巻6 号 p. 493-497
    発行日: 2010/12/10
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル 認証あり
    気道上皮バリア機能に対する酸の影響を明らかにするため,摘出モルモット気管をバス型ウッシングチャンバーに固定し頂膜側のpHを変化させ,クロライドチャネルブロッカーであるDPC (diphenylamine-2-carboxylic acid) を投与し,上皮の電気的バリア機能の指標の一つである短絡電流の変化を検討した。また,ナトリウムチャネルブロッカーであるアミロライドおよびプロトンチャネルブロッカーである塩化亜鉛に対しても同様に検討を行った。酸曝露後の短絡電流の増加は,DPC,アミロライド,塩化亜鉛によりそれぞれ部分的に抑制する傾向がみられたが,DPC,アミロライドでは有意差を認めなかった。また,塩化亜鉛においては有意に短絡電流の低下を認めた。酸は上皮電気的バリアの経細胞路および傍細胞路の両者に作用し,上皮のバリア機能を低下していると考えられた。
  • 戎本 浩史, 大上 研二, 槙 大輔, 山本 光, 澁谷 正人, 杉本 良介, 酒井 昭博, 飯田 政弘
    2010 年61 巻6 号 p. 498-503
    発行日: 2010/12/10
    公開日: 2010/12/25
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    NBI内視鏡など,光学機器の進歩と普及に伴い,中下咽頭領域での表在癌の診断・治療が行われてきている。当科では喉頭直達鏡下・顕微鏡下に中下咽頭粘膜切除術を行っている。顕微鏡下の操作では,精細な観察が可能である一方,視野が限られ,また両手操作により視野が遮られるため,患者の体格や腫瘍の存在部位,大きさにより,適切な喉頭鏡を選択し,十分な視野とワーキングスペースを確保することが不可欠である。今回われわれは,喉頭直達鏡下・顕微鏡下中下咽頭粘膜切除術において,病変部位,病変の大きさと使用した喉頭鏡の種類について検討した。大口径の喉頭直達鏡を使用することで,特に中下咽頭後壁の病変で良好な視野と手術操作性が得られた。
症例
  • 高橋 瑞乃, 齋藤 康一郎, 稲垣 康治, 長西 秀樹, 矢部 はる奈, 大久保 啓介, 堀之内 宏久, 百島 祐貴, 小川 郁
    2010 年61 巻6 号 p. 504-509
    発行日: 2010/12/10
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル 認証あり
    今回われわれは喉頭に嵌頓することで呼吸困難を呈する血管腫の症例を治療する機会を得た。治療の過程で,喉頭病変切除術に際しての予防的な気道確保手段の選択について示唆に富む経験をしたので報告する。
    症例は48歳の女性で,発声時の呼吸苦を主訴に当院を受診した。内視鏡検査にて,披裂部に基部をもち,発声時に喉頭腔へ嵌頓する有茎性腫瘤を認めた。画像検査では,腫瘤は前頸部皮下から上縦隔まで及ぶ長径約16 cm大の巨大血管腫の一部であった。
    呼吸苦の改善目的に喉頭有茎性病変の切除を計画した。術後の気道狭窄が予想されたため,気管切開による気道確保と,咽頭側切開による喉頭有茎性病変の切除を予定した。しかし気管前壁への到達以前に腫瘍から多量の出血を認めたため気管切開を断念し,止血・閉創して手術を一旦終了した。再手術では,左咽頭側切開アプローチにて有茎性病変を切除し,経喉頭的気管内挿管により術後の気道を確保した。
    術後に気道狭窄が予想される喉頭病変の切除に際し,気管切開が困難であるケースでは,術後の気道管理方法として,経喉頭的気管内挿管による管理も念頭において対応することが肝要であることを再認識させられた症例であった。
  • 齋藤 真希子, 前原 潤一, 河野 浩之, 山田 浩二, 米原 敏郎
    2010 年61 巻6 号 p. 510-514
    発行日: 2010/12/10
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は85歳,男性。意識障害と急性呼吸不全にて当院救急外来へ救急搬送後,CO2ナルコーシスの診断で経口気管挿管が施行され入院となった。抜管後に嚥下障害を認めたため,嚥下造影 (Videofluorography;以下VF) を施行すると,頸部側面像で前縦靱帯の異常骨増殖を認め,Forestier病と診断した。
    当院は標榜科に耳鼻咽喉科や頭頸部外科がなく,整形外科でもForestier病を治療の対象としていないため,Forestier病の認知度が低く,呼吸障害や嚥下障害の鑑別疾患にあがることはなかった。Forestier病患者は嗄声や嚥下障害を主訴に耳鼻咽喉科を受診することが多いが,急性呼吸不全により急性期病院の救急外来へ搬入される可能性があり,留意が必要である。
  • 諸鹿 俊彦, 山本 聡, 阿南 健太郎, 徳石 恵太, 小野 潔, 宮脇 美千代, 武野 慎祐, 中城 正夫, 山下 眞一, 川原 克信
    2010 年61 巻6 号 p. 515-520
    発行日: 2010/12/10
    公開日: 2010/12/25
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    食道異物 (布紐塊) に起因する食道気管瘻を経験したので報告する。症例は生来より発達遅滞のある32歳男性で,1週間前より嘔吐を訴え,近医で輸液療法を受けたが改善せず,吐物に血液を混じたため上部消化管内視鏡検査を受けたところ布紐塊が食道を閉塞しており,摘出すると食道は一部壊死しており,同部に食道気管瘻を認めた。瘻孔の直接縫合閉鎖は不可能であったため,胸部食道切除術を行い,気管膜様部の欠損を心膜パッチで補填し有茎大網弁による被覆を行った。2期的に術後23日目,右半結腸による食道再建術を行った。吻合部の縫合不全を生じたが保存的に治癒し,術後70日目に経口摂取を開始し,術後103日目に治癒退院した。
  • 二反田 博之, 山崎 庸弘, 坪地 宏嘉, 坂口 浩三, 石田 博徳, 金子 公一
    2010 年61 巻6 号 p. 521-525
    発行日: 2010/12/10
    公開日: 2010/12/25
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    頸部伸展・頸部襟状切開にて摘出できた縦隔内甲状腺腫の切除例を報告する。
    【症例1】75歳女性。胸部異常陰影にて紹介。気管は右側に圧排され,甲状腺左葉下極から中縦隔に進展する7 cm大の充実性腫瘤を認めた。腫瘤の下縁は大動脈弓の高さであった。頸部襟状切開にて摘出手術を行った。腫瘍と甲状腺との連続は認めなかった。腫瘍は周囲組織から容易に剥離可能で頸部からのアプローチのみで切除できた。
    【症例2】48歳男性。胸部異常陰影にて紹介。右上縦隔に異常陰影を認め,気管を左側に圧排。甲状腺右葉下極から中縦隔に進展する9 cm大の充実性腫瘤を認めた。腫瘤は左腕頭静脈の背側を通過して縦隔内に進展し,下縁は奇静脈の高さであった。同様に頸部襟状切開にて摘出手術を行った。鈍的剥離によって容易に頸部に脱転され,頸部からのアプローチのみで甲状腺右葉と腫瘍を切除できた。
    2例とも術後経過は良好であり,病理検査でどちらも腺腫様甲状腺腫と診断された。
用語解説
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