日本気管食道科学会会報
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62 巻, 2 号
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特別講演
  • 中島 格
    2011 年 62 巻 2 号 p. 63-70
    発行日: 2011/04/10
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル 認証あり
    喉頭は上気道に属し,下咽頭・食道と気管の分岐部に位置して発声,呼吸,嚥下機能に重要な役割を果たしている。高齢化社会の実現とともに,嚥下障害の問題が注目を集めるようになり,日常生活を送る上で大切なこれらの機能を担う“喉頭”という特殊臓器の診療を司るわれわれ耳鼻咽喉科医の役割はますます重要になってきている。喉頭は外界の異物が気管や肺などの下気道へ侵入するのを防止する関門としての立場にあるが,その機序としては咳嗽反射などの生理学的な機能が重要視され,粘膜免疫をはじめとする生体防御機能についての知識は極めて乏しく,その詳細は不明であった。
    本研究は,これまで音声・嚥下機能や各種の良性・悪性疾患の診断や治療に焦点が当てられていた喉頭を,異物侵入に対する粘膜防御機能の立場から検討することが出発点になっている。ヒトの喉頭は,哺乳類の中でも独自の,高度な機能と構造を保ち,人類が進化する過程で中心的な役割を果たしてきた器官だが,外界からの細菌やウイルスが侵入する際の関門の役割を果たす粘膜免疫の存在には,ほとんど注目されていなかったからである。さらに,これらの研究から得られた知識を,頭頸部がんの代表的疾患である喉頭がんの臨床病理の解明や治療へ反映させることを検討した。
教育講演
  • 加納 義浩, 西川 晋平, Dyah Laksmi Dewi, 石井 秀始, 土岐 祐一郎, 森 正樹
    2011 年 62 巻 2 号 p. 71-79
    発行日: 2011/04/10
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル 認証あり
    近年,癌幹細胞モデルが注目されてきている。癌幹細胞とは,腫瘍の形成や維持といった重要な役割を担っている細胞である。この癌幹細胞を解明することにより,従来の癌治療では越えることのできなかった腫瘍の再発や治療抵抗性の獲得等の癌の生物学的特性に深く関連した諸問題を克服できる可能性があるため,癌幹細胞を同定してそれを標的とする研究が活発となっている。本稿では,このような癌幹細胞の研究によって同定された癌幹細胞の性質とその同定方法,自己複製能や静止期維持などの癌幹細胞の性質について紹介した後,癌幹細胞の発生起源と最近特に注目を集めている新しい発癌モデルについて紹介する。最後に,臨床研究を目指した癌幹細胞研究の今後の方向性について考えていく。
特集1 シンポジウム1:頭頸部・気管食道科領域の再生医療
特集2 シンポジウム2:嚥下障害診療の問題点—学際的な立場から—
特集3 シンポジウム3:進行咽頭・頸部食道癌に対する治療戦略
特集4 シンポジウム4:頭頸部・食道・肺領域のナビゲーションサージェリー
特集5 ビデオシンポジウム:頭頸部・食道・肺悪性腫瘍の頸部・上縦隔郭清
特集6 パネルディスカッション1:咽頭・食道表在癌の新しい診断と治療
特集7 パネルディスカッション2:頭頸部・気管・食道科領域の重複癌に対する診断と治療
特集8 パネルディスカッション3:悪性気道狭窄の治療戦略
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