日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
62 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
原著
  • 伊藤 裕之, 加藤 孝邦, 長友 秀樹, 糠澤 達志, 石永 一
    2011 年62 巻3 号 p. 315-321
    発行日: 2011/06/10
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル 認証あり
    最近10年間の当院における誤嚥防止術 (以下,防止術) の統計と防止術の文献的考察とから防止術の適応や課題などについて検討したので報告した。当科にて最近10年間に防止術を行った男性14例,女性6例を対象とした。原因疾患の最終的臨床診断は,重症心身障害が4例,多系統萎縮症が3例,進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症,パーキンソン病,脊髄小脳萎縮症IIが各2例,パーキンソン症候群,レビー小体型認知症,原因不明の進行性神経疾患,外傷性頸髄損傷,外傷性脳損傷が各1例であった。
    進行性神経疾患,重症心身障害,脳血管障害などで寝たきりになった症例は,制御不能嚥下性肺炎を起こし,気切が必要となれば,防止術の適応になる。防止術により,長期生存が可能になったが,介護者高齢化や疾病罹患により介護が困難になる症例が増える可能性がある。新たな対策が求められる。
  • 前田 明輝, 梅野 博仁, 千年 俊一, 三橋 拓之, 中島 格
    2011 年62 巻3 号 p. 322-328
    発行日: 2011/06/10
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル 認証あり
    当科で喉頭摘出を行ったtransglottic carcinoma 13例の連続大切片標本を用いて,臨床病理学的に検討した。
    甲状軟骨・披裂軟骨浸潤は10/13例 (77%),輪状軟骨浸潤は7/13例 (55%) に認めた。またpreepiglottic space (PES) 浸潤は4/13例 (31%),paraglottic space (PGS) は13/13例 (100%),cricoid area (CA) 浸潤は10/13例 (77%) に認めた。Transglottic carcinomaは下方進展しやすく,PGS, CAが重要な間隙と考えられた。また,高率に喉頭軟骨浸潤をきたすため,喉頭温存は困難と考えられた。
  • 竹村 雅至, 森村 圭一朗, 藤原 有史, 吉田 佳世
    2011 年62 巻3 号 p. 329-337
    発行日: 2011/06/10
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル 認証あり
    根治的化学放射線療法後の遺残・再発例に対してのサルベージ食道切除術の治療成績を通常の手術例と比較した。2003年1月から2009年12月までにサルベージ食道切除が可能であった21例 (S群) と,同時期に食道切除を行った術前無治療の食道切除187例 (NS群) を対象とした。両群の術式には差がなかった。手術時間はS群が有意に短いが,出血量には差がなかった。術後合併症はS群に縫合不全が有意に多かった。気道壊死例はなく,在院死亡例もなかった。S群のうち11例が再発し,1年・3年生存率は80%・63.2%であった。CRT前cStage IVとリンパ節転移陽性例は有意に予後が悪かった。サルベージ食道切除術は,鏡視下でも安全に施行可能であるが,縫合不全が高率である。治癒切除可能なサルベージ手術例でも限定された症例でのみ良好な予後が期待できる。
  • 那須 隆, 小池 修治, 野田 大介, 石田 晃弘, 後藤 崇成, 青柳 優, 蜂谷 修
    2011 年62 巻3 号 p. 338-344
    発行日: 2011/06/10
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル 認証あり
    2007年から当科では遊離空腸再建手術を行った頭頸部癌症例で,遊離空腸採取後に腸瘻を形成し,術翌日より開始する経腸栄養管理を行った。2009年までに15例でこの栄養管理を施行した。術直後中心静脈栄養管理を行った対照症例15例と比較し,腸瘻からの経腸栄養管理の効果について検討した。
    経腸栄養群の血清アルブミン値の術後回復率の平均値は,術後7,15,30病日いずれも対照群より高かった。また,術後2週間のアルブミン製剤投与量は腸瘻経腸栄養群で有意に少なかった。術後の総リンパ球数は,術前に比較しすべての術後病日においても有意な低下を示した。しかし術後7病日で腸瘻経腸栄養群の低下が対照群に比較して有意に抑えられていた。
    術後合併症は対照群に比較し,腸瘻経腸栄養群で低い傾向にあった。特に創部感染や消化管合併症が1例も見られなかった。術後感染の指標とした抗生剤使用期間や下熱に要した時間は,腸瘻群で有意に短縮していた。
  • 藤田 真知子
    2011 年62 巻3 号 p. 345-348
    発行日: 2011/06/10
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル 認証あり
    2008年7月から2010年10月の間に中咽頭・扁桃の急性A群溶連菌感染症と診断された43例に対し,内視鏡による上咽頭の観察を行った。35例 (81%) に上咽頭の急性炎症所見を認め,細菌学的検査 (細菌培養および抗原診断検査) を行った26例中21例 (81%) に溶連菌の感染が証明された。中咽頭・扁桃の急性A群溶連菌感染患者では上咽頭にも急性炎症があると考えた方がよい。
  • 高木 啓吾, 秦 美暢, 笹本 修一, 高橋 祥司, 佐藤 史朋, 田巻 一義, 後藤 英典, 湯浅 玲奈
    2011 年62 巻3 号 p. 349-354
    発行日: 2011/06/10
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル 認証あり
    【目的】食道癌の気管浸潤は,呼吸障害からしばしば致死的合併症へと発展するが,化学放射線治療が奏効し,症状が改善する例が多い。一方で破壊性浸潤のために気管食道瘻を発生する危険性も秘めている。本例に対するステント治療の適応と成績を示し,その役割を検討した。
    【対象】1992~2010年に食道癌による気管狭窄を示した28例 (食道気管瘻7例を含む) で,年齢50~88歳,ステントはDumon型12例,dynamic型3例,膜付ultraflex型10例,留置なし3例であった。
    【結果】1.気管への腫瘍浸潤は膜様部主体で,仰臥位での呼吸困難感が強かった。2.ステント留置後の中間生存月数は4カ月であり長期予後は期待できなかったが,その間気道症状はよくコントロールされていた。3.狭窄症状がありながらも仰臥位可能な3例では,化学放射線治療が奏効しステント留置は不要であった。4.化学放射線治療後にステントを抜去した例はなかった。
    【結論】食道癌では,化学放射線療法が奏効して早期に気道狭窄が解除されるので,気管ステントの絶対適応は,放射線治療の際に仰臥位で呼吸困難が増強するような高度換気障害例や気管食道瘻例に限定してよいと判断された。またステント種選択に関しては,気管分岐部ではシリコンYステントが合理的であったが,気管狭窄例ではシリコン,金属の両者間で成績に差がなく,留置操作が簡単な金属ステントが第1選択と思われた。
症例
  • 野田 謙二, 児玉 悟, 野田 加奈子, 鈴木 正志
    2011 年62 巻3 号 p. 355-359
    発行日: 2011/06/10
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル 認証あり
    喉頭結核は現在,結核の0.1~0.2%にすぎないが,年間40例近い患者を認めており,耳鼻咽喉科外来診療において忘れてはならない疾患である。今回,喉頭結核症例を経験し耳鼻咽喉科外来診療の問題点について考察したので報告する。
    症例は52歳,男性。主訴は嗄声。声門下腫瘍の診断にて,近医耳鼻咽喉科より当科紹介となった。喉頭内視鏡検査にて左声帯から声門下に白色,壊死状の病変を認めた。生検結果,喀痰検査結果より,喉頭結核と診断し,結核専門病院へ紹介となった。
    耳鼻咽喉科外来診療における喉頭結核の問題点として,接触者の感染があげられる。喉頭結核は肺結核とともに感染性結核の代表的な疾患であり,耳鼻咽喉科外来診療では診察室の環境や喉頭内視鏡による患者の咳など,結核の感染リスクを増大させる要因も多い。本症例診断後,接触者検診を行ったが,感染者は認めなかった。しかし,本症例の診察において結核に対する十分な感染予防策はなされておらず,今後,結核を疑う患者に対しては十分な感染予防策が必要と思われた。また,本症例を経験後,内視鏡消毒の履歴管理を開始し,内視鏡や内視鏡室内での接触者の追跡調査ができるよう対策をとった。
  • 辻村 隆司, 土師 知行, 佐藤 進一, 南 和彦, 上田 俊雄
    2011 年62 巻3 号 p. 360-364
    発行日: 2011/06/10
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル 認証あり
    Ex utero intrapartum treatment (EXIT) 法は,出生時に上気道閉塞が予測される胎児に対して,分娩時の臍帯切断を行わずに血流を保持した状態で行う救命行為である。今回われわれは,出生前に高度の顔面奇形を指摘され,それに伴う出生直後の気道確保困難が予想された胎児に対して,EXIT法による気管切開を施行した。母親は29歳,経妊2回,経産2回。妊娠28週の胎児超音波検査で顔面奇形を指摘され,当院産科に紹介となった。胎児MRIでは形成不全による上顎の広範な欠損と変形を認め,下顎も低形成であったことから出生時に上気道閉塞が予測された。EXIT法による気道確保の適応と判断し,在胎37週0日で帝王切開術の施行となった。全身麻酔下での子宮横切開で胎児頭および右肩を部分娩出し,臍帯血流維持下に気管切開術を行い,気道を確保した。EXIT法は出生時の上気道閉塞に対する気道確保の手段として用いられるが,その適応は近年広がりつつある。手術においては臍帯血流の維持および母体・胎児のリアルタイムでのモニタリングが重要であり,そのために耳鼻咽喉科を含めた複数科の連携をとることが必要不可欠であると考えられた。
用語解説
feedback
Top