日本気管食道科学会会報
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62 巻, 4 号
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原著
  • 真栄田 裕行, 一色 信彦, 田辺 正博, 松島 康二, 溝口 兼司, 山本 一道, 折舘 伸彦, 福田 諭, 喜友名 朝則, 比嘉 麻乃, ...
    2011 年62 巻4 号 p. 377-383
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/25
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    当院においては,片側声帯麻痺によって生じた音声障害例に対し,甲状軟骨形成術I型または被裂軟骨内転術および両者を組み合わせた術式を施行している。それによって術後の音声に関して安定した成績が得られている。I型は,一色の原法に従い,窓状に切開した軟骨片は除去せずに残す方法をとっている。内方に圧排した軟骨片の固定には,従来,シリコンブロック,Gore-Tex®等が用いられてきた。しかし当院においては,最近,ほぼ全例にチタンプレートを使用している。チタンプレートは術中の成形が比較的簡単でかつ耐久性があり,組織親和性が高いことなどが特徴としてあげられる。また周囲組織への固定が簡便で,局所麻酔下において患者に発声させながらの音声の調整も容易である。さらにシリコンブロックやGore-Tex®による軟骨片固定の失敗例に対する再手術への使用に対しても良好な結果を得ている。今回われわれはこれまでにチタンプレートを用いて音声再建をした声帯麻痺症例を検討し,良好な結果を得ることができたことを確認した。
  • 近藤 貴仁, 伊藤 博之, 塚原 清彰, 清水 顕, 岡本 伊作, 岡田 拓朗, 吉田 知之, 鈴木 衞
    2011 年62 巻4 号 p. 384-392
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル 認証あり
    1998年1月から2006年12月の9年間に当科で初期治療を施行した下咽頭癌87例について検討した。性別は男性82例,女性5例であった。年齢は40歳から88歳で,平均値61.8歳,中央値61歳であった。病理は全例で扁平上皮癌であった。追跡期間は2カ月から139カ月で,平均値は39.2カ月,中央値32カ月であった。同時性,異時性重複癌は全体の37.9%にみられ,そのうち食道癌は全体の29.9%にみられた。5年粗生存率は37.3%であった。疾患特異的5年生存率は45.4%であった。Stage IVの疾患特異的5年生存率は42.8%であった。進行癌の治療法別疾患特異的5年生存率はRT (±NAC) で47.7%,CCRT (±ND) で55.0%,TPL (±NAC) で40.8%であった。統計学的有意差はなかったが,CCRT群において生存率が高い傾向にあった。亜部位別疾患特異的5年生存率はPS型で40.3%,PC型で62.0%,PW型で29.1%であった。有意差はなかったが,PW型で生存率が低い傾向にあった。
  • 的野 吾, 田中 寿明, 永野 剛志, 西村 光平, 村田 一貴, 末吉 晋, 白水 和雄, 藤田 博正
    2011 年62 巻4 号 p. 393-398
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル 認証あり
    【背景】食道癌は重複癌を合併することが多く,とくに頭頸部癌や胃癌の合併が多い。食道癌術後の長期生存例が増加するとともに,胃管癌症例も増加している。
    【対象と方法】1982~2001年に食道癌手術 (胃管再建術) を施行した608例中,異時性胃管癌を発症した13例 (2.1%) を対象とし,治療成績について検討した。
    【結果】胃管癌発症時の年齢中央値は66歳,全例男性だった。食道癌手術から胃管癌発見までの期間は中央値6.5年だった。食道癌術後の再建経路は,胸壁前3例,胸骨後2例,後縦隔8例だった。胃管癌発見の契機は,定期的内視鏡検査9例,症状3例,検診異常1例だった。胃管癌の深達度は,T1が8例,T2が2例,T3が1例,T4が2例だった。治療法は,胃部分切除術3例,幽門側胃切除術2例,胃全摘術1例,内視鏡治療6例,ステント留置術1例だった。胃管癌治療後の5年生存率は29.6%だった。現在,5例が生存中で8例が死亡した。死因は,胃管癌死2例,肺癌死1例,手術死亡1例,他病死4例だった。
    【まとめ】食道癌術後は,長期生存例でも定期的な内視鏡検査が重要である。定期的内視鏡検査により胃管癌を早期に発見し,内視鏡治療にて治療することが肝要であると考える。
  • 津田 武, 廣瀬 正幸, 佐野 光仁
    2011 年62 巻4 号 p. 399-405
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル 認証あり
    当センターでは奇形を伴い出生後すぐに気管内挿管が必要な新生児や心停止などのため直ちに呼吸循環管理を行う必要のある多くの乳幼児の治療を行っている。今回われわれは当センター耳鼻咽喉科において気管切開術を施行した小児症例 (13歳未満) の臨床的検討を行った。対象は1982年1月~2010年10月までの過去28年間に当科にて気管切開術を施行した症例214例であり,その内訳は男性102名,女性112名であった。年齢は中央値11カ月 (0~155カ月) であり原疾患として最も多かったのは神経・筋疾患に伴うもので96例であった。全症例の転帰として現在も気管口が開存しているケースが100例と最も多く,気管口が閉鎖できた例は15例,死亡例は49例であった。死亡した症例のうち46例は原疾患の悪化によるものであり,3例は腕頭動脈気管瘻に伴う出血が原因であった。術後の合併症としては肉芽形成が26例であり,気管狭窄が10例,腕頭動脈気管瘻が4例あった。また気管口閉鎖術後に瘻孔形成を認めた症例が7例認められ,6例は瘻孔閉鎖術にて閉鎖することができたが,1例は微細な瘻孔の残存を認めており今後瘻孔閉鎖術を再度行う予定としている。追加手術として最も多かったのは喉頭気管分離術の29例であった。
症例
  • 竹林 慎治, 平野 滋, 三好 拓志, 鈴木 千晶, 樋渡 直, 池田 浩己, 三浦 誠
    2011 年62 巻4 号 p. 406-410
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル 認証あり
    症状を有する喉頭のう胞は,比較的まれな疾患である。しかし,増大すれば窒息の危険性もあり,治療法の選択では難渋する。今回われわれは,呼吸困難を生じ,経口腔的開放術のみでは再発を繰り返し,頸部外切開によるのう胞摘出を要した喉頭のう胞の1例を経験したので,報告する。症例は65歳男性で,平成15年と19年に,喉頭のう胞の腫脹による呼吸困難に対して,気管切開術と経口腔的切開開放術を受け,症状軽快後気管切開孔は閉鎖されていた。平成20年に呼吸困難・嚥下障害で当科受診し,のう胞腫脹による気道狭窄を認め,緊急気管切開術・経口腔的生検および開放術を施行した。病理結果は悪性ではなく,他疾患合併のため経過観察中,再増大してきたため,平成21年に全身麻酔下で頸部外切開によるのう胞摘出術を施行した。のう胞は周囲組織と癒着しており,甲状軟骨を鉗除し,視野を確保し摘出した。病理結果はlymphoepithelial cystであった。術後一過性嚥下障害を認めたが,気管切開孔を閉鎖し,のう胞再発は認めず経過良好である。
  • 西川 仁, 日高 浩史
    2011 年62 巻4 号 p. 411-416
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル 認証あり
    下咽頭・食道異物は穿孔を合併することがあり,穿孔部位から感染を引き起こす注意すべき疾患である。穿孔を合併する症例はCTにて異物を指摘できることがほとんどである。今回,CT検査にて魚骨異物を認めず,その後穿孔から膿瘍まで進展し,直視鏡下にドレナージ術を施行し治癒せしめた1症例を経験したので報告する。症例は79歳女性である。イシモチ (魚) を食べた後,持続する咽頭痛・嚥下時痛にて当院に紹介された。軟性内視鏡検査やCT画像にて異物を疑わせる所見はなかった。その後広範な縦隔気腫にて再診された。保存的治療にて食道壁内膿瘍に進展したため,最終的に直視鏡下にドレナージ術を行い治療した。CT画像上異物を認めなくても,経過の思わしくない症例や気腫を疑い得る症例は,穿孔の可能性ありと疑って診療すべきと考えた。穿孔からの膿瘍も症例を選べば経管的なドレナージ術によって治療できると考えた。
  • 山崎 愛語, 門田 伸也, 山下 安彦, 滝下 照章, 石川 徹, 寺本 典弘
    2011 年62 巻4 号 p. 417-422
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル 認証あり
    咽頭ではきわめてまれなgranulocytic sarcoma症例を報告する。症例は66歳男性,咽頭違和感を主訴に近医耳鼻咽喉科を受診し,咽頭に腫瘍を認めたため,当科紹介となった。初診時,中咽頭後壁,左側壁から下咽頭後壁,左梨状窩に外方発育型の腫瘍を認めた。血液検査で血小板が1.0×104/μlと著明に減少し,芽球の出現も認め,骨髄検査と合わせて急性骨髄性白血病と診断された。咽頭腫瘍の組織検査は,白血病の診断を踏まえ,ミエロペルオキシダーゼ染色で骨髄性細胞への分化を確認し,granulocytic sarcomaと診断された。治療は急性白血病に準じた化学療法を主体とした。寛解導入療法で腫瘍は一旦縮小したものの,再増大をきたした。地固め療法を施行し,さらに気道狭窄改善目的で局所に放射線照射を行った。汎血球減少などのため28 Gyで照射中断となったが,腫瘍は著明に縮小し,全身状態悪化で原病死するまで,局所病変の進行は制御しえた。
用語解説
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