近年になって科学的エビデンスに根差した呼吸リハビリテーションのガイドライン (ステートメント) が公表され,推奨項目の重みづけもされてきている。多岐にわたる包括的 (comprehensive) 呼吸リハビリテーションプログラムは多職種の混成チームによるチーム医療がこれをサポートする。このサポートは患者の全臨床経過におよぶので,地域医療連携の緊密化はもとより,患者と患者家族の受け入れも必須となる。
呼吸リハビリテーションの最終ゴールはCOPD患者などの呼吸困難の軽減,運動耐容能の改善,そして健康関連QOLとADLの向上である。ようやく,わが国でも普及し始めた呼吸リハビリテーションを,より広範に臨床応用するために呼吸リハビリテーション (理学療法) 治療手技のなおいっそうの標準化と患者個々に対応する個別化プログラムの工夫とが求められよう。
さらに,社会的認知が本療法の普及の支えになるので,医療関係者や地域社会に啓蒙活動を継続し続けることも肝要である。これまでの呼吸リハビリテーションは主としてCOPDに焦点をあてて発展してきたが,他の慢性呼吸器疾患に対する効果の可能性も示唆される報告も散見され始めているので,今後の検討が期待される。
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