目的:喉頭亜全摘出術 (supracricoid laryngectomy with cricohyoidoepiglottopexy : SCL-CHEP) 後の新声門の形態を,3次元画像を構築して解析した。
対象と方法:喉頭亜全摘出術を施行した中で,multidetector-row CTを施行した17症例。1.25 mmスライスで撮影し,3次元画像構築ソフトを用いて輪状軟骨,披裂軟骨,術後喉頭内腔粘膜を描出した。
結果:1)軟骨の描出;輪状軟骨,披裂軟骨は全例で良好に描出でき,筋突起や声帯突起などが同定できた。披裂軟骨の片側残存例も両側残存例も運動は良好で,脱臼所見はなかった。2)気道の描出;2種類に分けられ,発声時に気道が正中に一つの正中型と,披裂軟骨より外側に気道がみられる外側型があり,正中型の方がVHIは低かった。
考察:新声門の形態は直接的に音声機能に関与する。従来では観察できなかった3次元的な形態の把握は,効率的な発声のために必要な要素を明らかにした。この検討を元に,より良い音声機能のために手術手技を改善することが必要である。
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