当科では頭頸部癌治療後や各種の脳血管神経疾患に起因する嚥下障害に対して嚥下機能改善手術を行っている。経口摂取は多くの例で改善がみられているが,手術合併症も経験している。今回,当科での嚥下機能改善手術の合併症に関する検討を行い,その改善点について考察した。
対象と検討項目:2009年から2012年までに当科で嚥下機能改善手術を行った7例について年齢,性別,基礎疾患,手術内容,術後合併症,術前後食形態をretrospectiveに検討した。
結果:年齢は64歳から82歳,男性6例,女性1例だった。基礎疾患は頭頸部癌・食道癌治療後例が3例,脳血管・中枢神経疾患例が4例だった。輪状咽頭筋切除術は全7例10側に行われ,6例には喉頭挙上術が併施された。
喉頭挙上術を行った6例中3例が術後3カ月以降に縫合糸感染をきたし,抜糸を必要とした。両側輪状咽頭筋切除術を行った3例中1例で食道穿孔をきたし,縦隔炎を併発したため全身麻酔下に穿孔閉鎖術を要した。また,2例で胃食道逆流に伴う誤嚥性肺炎をきたし,うち1例が死亡した。
結論:嚥下障害の手術例は全身状態が不良な例が多く,合併症の回避は重要な課題である。術前後栄養管理と術後胃食道逆流の制御が必須で,喉頭挙上術に関しては縫合糸感染予防の工夫が必要と考えられた。
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