結核患者は1999年以降,減少傾向にある。その中で喉頭結核の患者は年間約50人で全体の0.2%程度にすぎず,患者数の減少に伴う医療従事者の意識の低下が懸念される。また喉頭結核は多様な病型により診断に苦慮する症例も多い。今回,われわれが経験した3症例と過去の喉頭結核に関する報告を比較照合し,病型の傾向や診療の注意点について検討したため報告する。
症例は57歳,22歳,48歳の女性であった。症例1は肉芽腫の診断で前医より当科紹介となった。全身麻酔下生検,喀痰検査により喉頭結核と診断された。症例2,3は喉頭炎の診断で前医より当科紹介となった。胸部CT,喀痰検査により喉頭結核・肺結核と診断された。
喉頭結核は医療の進歩や検査機器の普及により初期に発見される軽症患者が増加しており,逆に診断を難しくしている可能性がある。耳鼻咽喉科医は軽症患者の受診を想定し,経過の長い難治例は速やかに喉頭結核を疑う必要があると思われた。病型では新たに“腫脹型”という概念が必要と考えられ,病型の傾向を把握して遅れがちな検査を再確認することが早期診断の一助になると考えられた。
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