反回神経に浸潤する甲状腺癌により片側声帯麻痺をきたし,嗄声のため生活の質 (QOL) の低下を認めることは少なくない。これらに対し甲状軟骨形成術I型や披裂軟骨内転術による音声の改善が図られる。甲状腺癌に起因する片側声帯麻痺14例において,音声改善手術後の音声を,最長発声持続時間および患者の満足度の点から2種類の質問票を用いて評価した。最長発声持続時間は,術前平均3.3秒から術後平均10.6秒へと改善した (
p<0.01) 。Voice-Related QOL質問票スコア (最悪0~最良100) では,術前平均30.6から術後平均68.4へ有意な改善を認めた (
p<0.01) 。またVoice Handicap Index-10スコア (最良0~最悪40) では,術前平均23.4から術後平均13.2へ有意な改善を認めた (
p<0.01) 。これらの音声改善手術は甲状腺癌においても患者のQOLを高めることが示唆され,積極的に考慮すべきであると考えられた。
抄録全体を表示