日本気管食道科学会会報
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64 巻, 4 号
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原著
  • 東野 正明, 東川 雅彦, 小橋 祐子, 長谷川 恵子
    2013 年64 巻4 号 p. 247-252
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/25
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    火災による気道熱傷では,熱気,煙,有毒ガスの吸引などにより,上気道,下気道,肺胞に至る複合的な病態を引き起こす可能性がある。気道熱傷を疑う臨床所見として,顔面熱傷,鼻毛焼失,口腔内スス付着,咽頭痛,嗄声,呼吸苦,意識障害などがあげられ,受傷時の状況として閉所での火災受傷では気道熱傷が合併しやすいとされている。
    今回,地下鉄の駅構内の倉庫で火災が発生し,その際に気道熱傷を疑われ搬送された2例を含む17例の患者を受け入れた。問診にて被災場所,乗客の誘導・消火活動などの役割,煙の吸い込み具合,自覚症状などを確認した後,口腔鼻咽頭喉頭をファイバースコープで十分に確認し,必要に応じて胸部X線や血液検査を施行し,症状に応じて他科受診を考慮することにした。いずれも臨床的に重症例はなく,すべて外来で対応可能であった。医療現場では火災現場での状況の把握が困難であり,今回のような火災の際に安易に受け入れ要請に応じるべきかどうかは十分に検討し,非常事態の対策をあらかじめ練っておく必要がある。
  • 千年 俊一, 佐藤 公則, 濱川 幸世, 栗田 卓, 末吉 慎太郎, 深堀 光緒子, 原口 正大, 梅野 博仁, 前田 明輝, 中島 格
    2013 年64 巻4 号 p. 253-264
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/25
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    嚥下障害に対して,効果的で侵襲の少ない内視鏡下輪状咽頭筋切除術を以下の手順で行っている。手技:1.内視鏡下に食道入口部を展開する。2.食道入口部粘膜をCO2レーザーで縦に切開した後,輪状咽頭筋を確認する。3.輪状咽頭筋を把持し筋の後面を広く剥離する。4.咽頭筋膜を明視下に確認し保存する。5.同筋をCO2レーザーで蒸散し粘膜下に大きく切除する。6.縦に切開した食道入口部粘膜を水平に縫合し,食道入口部を広く形成する。本術式は,確実で十分な輪状咽頭筋の切除が可能である。本稿では,輪状咽頭筋の神経支配様式の観点から,本術式の切除効果を免疫組織学的に比較検討した。対象:内視鏡下切除あるいは外切開切除によって輪状咽頭筋切除術を併用した頭頸部癌手術症例から得られた輪状咽頭筋,それぞれ10検体,12検体を対象とした。方法:検体を急速凍結させたのち筋線維中央縦断切片を作製した。アセチルコリンエステラーゼにより染色された神経筋接合部の総面積を画像解析装置にて算出し,2群間で比較した。結果:2群間の総面積に有意差はなかった。結論:本術式は頸部外切開で行う輪状咽頭筋切除術と同等の切除効果が期待できる。
  • 川田 研郎, 岡田 卓也, 杉本 太郎, 藤原 尚志, 齋藤 賢将, 藤原 直人, 了徳寺 大郎, 太田 俊介, 宮脇 豊, Jirawat ...
    2013 年64 巻4 号 p. 265-270
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/25
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    始めに:内視鏡機器の進歩に伴い,頭頸部表在癌が多数発見されるようになったが,経口内視鏡では観察困難部位も存在する。
    目的:観察困難部位の一つである舌根を詳細に観察する工夫として経鼻内視鏡による中咽頭反転法を考案した。その手技と有用性を明らかにする。
    使用機器:使用スコープはEG-580 NW, EG-530 NW (FUJI FILM,東京) を用いる。画質が良好で,画角が140°と広角で,FICEを標準装備している。アップアングル210°とスコープ先端の強い彎曲が可能である。
    対象と方法:2012年4月から10月までに経鼻内視鏡による中咽頭反転法を行った172例を対象とした。口腔内観察後,鼻から内視鏡を挿入し,口蓋垂を超えた辺りで大きく口を開け,舌をできるだけ前方に突き出し,「エー」と発声させながら,内視鏡のアップアングルをフルにかけ,反転し観察する。動画記録装置に記録し,舌根から舌尖まで観察しえたかを検討した。
    結果:160例 (93%) に舌尖までの観察が可能であった。これまで経口的には接線方向でしか観察できなかった有郭乳頭の正面視が容易となった。
    結語:経鼻内視鏡による中咽頭反転法は中咽頭観察に有用である。
  • 正来 隆, 松葉 宏起, 大原 卓哉, 加納 孝一, 細野 浩史, 堀口 利之, 岡本 牧人
    2013 年64 巻4 号 p. 271-275
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル 認証あり
    2005年1月から2012年12月までの8年間,北里大学耳鼻咽喉科で摘出を試みた気道異物18例について検討した。最年少は9カ月,最年長は59歳であった。異物はピーナッツが最多 (22.2%) であった。3例 (16.7%) で初回手術時に異物を摘出できなかった。再手術を行ったところ,2例で異物を確認できなかった。1例はステロイドと抗菌薬により気管の腫脹が改善したため,異物を摘出することができた。
症例
  • 田村 悦代, 福田 宏之, 岡田 信也, 渋谷 正人, 飯田 政弘
    2013 年64 巻4 号 p. 276-280
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/25
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    声門閉鎖不全疾患に対する音声改善療法として,声帯内自家脂肪注入術は,広く普及してきた。声帯内注入術を複数回施行されたが音声が改善せず,更なる注入術施行を目的に来院した症例について検討した。ストロボスコープによる発声時の粘膜波動や喉頭CTより声帯内に過量で不適切な部位へ脂肪組織が注入されたと判断し,注入脂肪除去術を施行した結果,音声が改善したので報告する。自家脂肪は安全な注入材料ではあるが過量に注入すれば音声を障害する。
  • 山口 陽生, 倉富 勇一郎, 佐藤 慎太郎, 門司 幹男, 井之口 昭
    2013 年64 巻4 号 p. 281-286
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル 認証あり
    魚骨異物は日常診療でよく遭遇する疾患であるが,内視鏡や単純X線検査で発見できないことがある。こうした症例ではまれに咽頭腔外異物となっている場合があり,注意を要する。今回われわれは,下咽頭から咽頭腔外に刺入埋没した魚骨異物症例を経験した。症例は74歳女性,魚骨誤飲後に米飯を6~7回丸呑みしたが嚥下痛が持続するため受診した。内視鏡では異物を全く確認できなかったが,CTにて下咽頭腔外の咽頭後間隙から椎前筋内に異物が確認された。外切開による摘出に備え,3D-CT画像の再構成を行い,異物の立体的形状や三次元的な局在部位を術前に把握した。これにより手術では椎前筋内に比較的容易に異物を同定でき,中間部を切断して異物を摘出した。異物は棘状の魚骨異物であった。咽頭腔外魚骨異物の同定にはCTが有用であり,異物の立体的構造や三次元的な局在部位を把握するために3D-CT画像を再構成することが,外切開による摘出に極めて有用と思われた。
  • 浜口 清海, 庄司 和彦, 堀 龍介, 岡上 雄介, 藤村 真太郎, 脇坂 仁美
    2013 年64 巻4 号 p. 287-290
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/25
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    頭頸部癌において上部消化管内視鏡検査は腫瘍の再発や消化管の重複癌の存在を精査する手段として有用な検査である。一方で,頭頸部癌の治療として化学放射線療法は,現在では病期によっては第一選択となる治療である。今回われわれは下咽頭癌の化学放射線療法後,上部消化管内視鏡検査を行った際に食道穿孔をきたした症例を経験したので報告する。症例は76歳の男性で,2008年に下咽頭癌T3N2cM0に対して化学放射線療法が施行され寛解が得られていた。外来通院で経過観察中,嚥下時違和感の訴えがあり,精査のため上部消化管内視鏡検査を施行した。検査中,食道腔に内視鏡を挿入した際に出血をきたしたため直ちに内視鏡を抜去し,CTにて精査を行うと縦隔気腫を認めた。食道穿孔に伴う縦隔気腫と診断し,保存的加療を行い軽快が得られた。上部消化管内視鏡検査において食道穿孔は稀ではあるものの重篤な偶発症である。放射線治療により組織が線維化し脆弱になっているため,偶発症のリスクが高くなることに注意すべきであると考えられた。
短報
  • 廣芝 新也, 一色 信彦, 田邉 正博, 田村 芳寛
    2013 年64 巻4 号 p. 291-296
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/25
    ジャーナル 認証あり
    内転型痙攣性発声障害の治療法として,一色らが報告した甲状軟骨形成術II型は非常に有効であるが,正しく行わなければ良好な結果が得られない。手術を行うに当たり,以下の点に注意する必要がある。1)正確に甲状軟骨の正中を切開すること,2)喉頭内腔に穿孔を作らないように注意すること,3)甲状軟骨内軟骨膜は声帯レベルでは剥離しすぎないこと,4)良好な音声を得られる開大幅を慎重に判断すること,5)チタンブリッジの固定を,変位しないように確実に行うこと。
    以上の点に注意して行えば,ほぼ確実に効果が期待できる手術法である。
用語解説
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