口腔内粘膜残渣の誤嚥による気道閉塞をきたした要介護者症例を経験したので報告する。患者は73歳の男性で,基礎疾患に脳梗塞後遺症があり,寝たきり状態にある。現病歴では,数日前からの発熱を主訴に入所中の施設から当院へ搬送され,尿路感染症の診断で入院となった。口腔ケア施行後約2時間で湿性咳嗽が出現し,SpO
2が低下した。CTで右主気管支から中間幹内腔に充満する異物吸入が疑われ,直ちに気管支鏡で異物除去を行った。スネア鉗子で異物を裁断して吸引をかけながら摘出する操作を数回繰り返してすべて摘出した。処置中に酸素化は改善した。摘出異物の病理所見から,口腔内粘膜残渣の脱落・誤嚥による気道閉塞と診断した。気道異物は窒息の原因となり,放置すると肺炎や無気肺などの合併症を引き起こすことがあり,適切な診断と早急な対応が必要とされる。要介護高齢者の場合,自分から異物吸引のエピソードを告知できないため,医療従事者・介護担当者の客観的な判断が大切である。また,口腔ケアを行う場合,口腔内粘膜残渣の誤嚥を生じないような操作や体位の工夫が必要である。
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