はじめに:甲状腺分化癌は予後が良好であるが,なかには予後不良のものもある。甲状腺癌分化癌の危険因子について検討した。対象と方法:対象は1991~2000年に手術を行った甲状腺分化癌166例 (年齢56.4±14.1歳,男性/女性:35/131例,乳頭癌/濾胞癌:144/22例,経過観察期間13.1±4.8年,T1-2/T3/T4 : 60/84/22例,N0/N1a/N1b : 81/40/45例,M0/M1 : 164/2例,stage I-II/III/IV : 60/54/52例) 。なおTNM・病期分類はUICC第7版に基づき分類し,生存率と有意差検定を行った。結果:166例中14例の原病死を認めた。全体の疾患特異的生存率は10年96.6%,15年92.0%であった。T4とT1-2,T4とT3,N1bとN0,M1とM0,stage IVとstage I-II,stage IVとstage IIIの間に有意差 (
p<0.05) を認めた。T4,N1b,M1について多変量解析を行ったところ,T4,M1で有意差を認めた。結論:T4,N1b,M1は危険因子であり,特にT4,M1の予後が不良であった。
抄録全体を表示