喉頭全摘出術後合併症の一つである縫合不全,咽頭皮膚廔形成は最も避けたい合併症である。廔孔閉鎖困難症例では生涯経口摂取不可となりQOLは著しく低下する。咽頭チューブの一つであるHar-El Pharyngeal Tubeを使用し,経口摂取可能となった1例を報告する。症例は77歳,男性,喉頭癌T2N0M0stageIIと診断された。60歳時に頸部に放射線治療の既往あり,喉頭全摘出術および両側頸部郭清術を施行した。縫合不全から感染をきたし,広範囲な咽頭皮膚廔を形成した。遊離前腕皮弁および大胸筋皮弁を用いた瘻孔閉鎖術を行ったが,閉鎖できなかった。また2回目術後より循環機能低下があり,全身麻酔手術が困難となった。経口摂取への強い希望あり,Har-El Pharyngeal Tubeを個人輸入して,咽頭と食道のバイパスチューブとして使用した。チューブ留置により飲水および五分粥摂取が可能となった。一方で,疼痛のため,1日1回15分程度が使用の限界であった。チューブ使用に伴い,咽頭皮膚瘻孔が拡張し,経口摂取時に漏洩が出現した。心機能を含めた全身状態の悪化から咽頭チューブ使用開始後8カ月目に永眠した。咽頭チューブは永眠1カ月前まで使用していた。Har-El Pharyngeal Tubeは難治性咽頭皮膚瘻孔症例での一手段となりえる。
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