日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
66 巻, 5 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集:気管食道科領域における経口的鏡視下低侵襲治療
  • 塩谷 彰浩
    2015 年66 巻5 号 p. 299-302
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル 認証あり
    気管食道科領域における経口的鏡視下低侵襲治療に関して,咽喉頭癌,食道癌,気管気管支ステント,小児気道インターベンションのそれぞれの領域において,顕著な発展が見られている。咽喉頭癌に対する経口的手術においては,内視鏡手術であるTOVS (Transoral Videolaryngoscopic Surgery) やELPS (Endoscopic Laryngopharyngeal Surgery) が,また米国においてはTORS (Transoral Robotic Surgery) が開発され,さまざまな有用な術式が登場してきている。本稿では,これらの術式の開発の経緯や,腫瘍切除の際のアプローチや使用器具等の特徴について解説した。
  • 冨藤 雅之, 山下 拓, 荒木 幸仁, 塩谷 彰浩
    2015 年66 巻5 号 p. 303-310
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル 認証あり
    咽喉頭癌に対する喉頭機能温存治療には咽喉頭部分切除手術と (化学) 放射線治療がある。従来の頸部外切開による咽喉頭部分切除術は手術侵襲が高いものであったが,経口的アプローチにより病変とその周囲のみの最低限の切除による治療が可能となってきている。本稿においては拡張型喉頭鏡と硬性内視鏡下に行うTransoral videolaryngoscopic surgery (TOVS) について解説を行う。本法の特色としては頭頸部外科医のみで施行可能であり,内視鏡で広い視野を得つつ,直達鏡下の手術手技で一塊切除が可能である。手術適応としては上皮内癌から一部のT3症例まで一塊切除が可能であり,放射線治療後のrT1,rT2症例に対しても一部応用が可能である。治療成績としては声門上,下咽頭癌においては5年粗生存率,疾患特異的生存率,局所制御率,喉頭温存率,無再発生存率は82%,98%,95%,95%,81%であり,中咽頭癌においては5年粗生存率,疾患特異的生存率,局所制御率,無再発生存率は89%,94%,91%,76%であった。周術期の注意点としては術後出血や気道浮腫への対応が重要であり,中長期的には少ないながらも嚥下障害のリスクについての説明が必要である。
  • 楯谷 一郎, 森田 周子, 船越 真木子, 林 智誠, 石川 征司, 岸本 曜, 森田 真美, 平野 滋, 北村 守正, 武藤 学
    2015 年66 巻5 号 p. 311-318
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル 認証あり
    Narrow band imaging (NBI) をはじめとする内視鏡診断技術が頭頸部領域にも応用され,従来では発見し得なかった微小な表在癌を診断できるようになってきた。これらの表在癌は当初は消化器内科医によってEndoscopic submucosal dissection (ESD) などにより治療されていたが,咽喉頭病変の治療に特化した術式として佐藤らによりEndoscopic laryngo-pharyngeal surgery (ELPS) が開発された。その特徴は彎曲型喉頭鏡とNBI機能付き上部消化管拡大内視鏡によって視野を確保し,耳鼻咽喉科医が切除を行うことにあり,初期には表在癌に対してのみ行われていたが,最近ではその適応が浸潤癌にも拡大されつつある。ELPSのメリットは彎曲型喉頭鏡とNBI機能付き上部消化管拡大内視鏡による良好な術野,ウォータージェット機能をはじめとする拡大内視鏡のさまざまな機能的サポートが受けられること,上皮化注射により深部組織を温存することで術後の声帯運動制限・嚥下機能低下を最低限に抑える超低侵襲治療であること,頸部食道に病変が進展している場合にもESDをその場で併用することで対処可能なことにある。咽喉頭癌治療における選択肢の一つとして経口的ロボット支援手術が世界的に普及しつつある現在,わが国で独自に開発された安価で低侵襲な治療法であり,今後の更なる発展・普及が期待される。
  • 清水 顕
    2015 年66 巻5 号 p. 319-325
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル 認証あり
    気管食道領域の経口的ロボット支援手術は中咽頭癌,声門上癌,下咽頭癌に対する1つの低侵襲治療として応用されている。経口的手術は外切開による腫瘍切除よりも手術時間・入院期間の短縮・出血量の軽減,術後嚥下機能の温存が図れる。さらにロボット手術では,従来の内視鏡手術では操作困難であった前壁方向の切除を円滑に行うことができる。ロボットのさまざまな機能により手術技術習得は早く,手術技術の均一化が図りやすい特徴がある。ワーキングスペースが狭い咽喉頭内においても縫合などさまざまな動作が可能であり,海外では甲状腺摘出術,頸部郭清術,睡眠時無呼吸症候群に対する舌根切除術,経口的副咽頭間隙腫瘍摘出術,再建手術などさまざまな術式が検討,報告がなされている。ロボット機器自体はまだ発展途上にあり,ロボットの改良とともに今後も新しい経口的手術が検討される期待が高い。
  • 尾形 高士
    2015 年66 巻5 号 p. 326-333
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル 認証あり
    内視鏡および関連機器,処置具の発達などにより,食道癌の早期発見,早期治療が行われるようになってきている。現在,食道癌に対する内視鏡治療としてEndoscopic submucosal dissection (ESD) とEndoscopic mucosal resection (EMR) が主として行われている。ESD技術の発展もあり,食道癌診断治療ガイドライン2012 (日本食道学会編,2012年度版,金原出版) において深達度Ep,LPM病変までが内視鏡治療の絶対適応病変,深達度T1aMM,T1bSM1でリンパ節転移がない病変が相対適応病変と規定されるようになったが,大きな病変でも一括切除可能となった反面,術後の瘢痕狭窄の問題が浮かび上がってきた。他にも術中術後の出血,穿孔等の偶発症,術中の鎮静の問題などは依然として存在し,これらすべてのマネージメントができて初めて安定した内視鏡治療が行えると考えられる。今回,機材や手技の発展を含め,食道癌ESDを中心とした内視鏡治療の現状を述べさせていただく。
  • 川田 研郎, 河野 辰幸, 中島 康晃, 松井 俊大, 久米 雄一郎, 奥田 将史, 小郷 泰一, 中嶌 雄高, 藤原 尚志, 齋藤 賢将, ...
    2015 年66 巻5 号 p. 334-340
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル 認証あり
    食道早期癌に対するアルゴンプラズマ凝固―上皮下焼灼法 (APC-SEA) について概説する。2008年4月以降の食道癌初診例で,2014年4月までにAPC治療を行った食道早期癌61例 (男性47例:女性14例,平均年齢68.7歳,40~90歳) の治療成績について検討した。治療理由はER後の同時性・異時性多発12例,まだら不染のメインテナンス12例,高齢や耐術能,進行性の他臓器癌重複などの社会的理由で原発9例,周在性の広い病変へのESD/EMRとの計画的分割治療9例,ER後の局所再発8例,化学放射線治療後の遺残または局所再発7例,憩室内癌4例であった。APC対象病変は扁平上皮癌でおおよそ深達度がT1a-EP~LPMにとどまるものを対象とした.総数で110回の治療を行い,うち58回 (52.7%) は外来治療で行った。APC治療回数の中央値は2回 (平均1.8回,1~12回) で,出血,穿孔,外来治療後の緊急入院はなく,全例で安全に治療を行いえた。処置時間の中央値は17分 (5~40分) で,計画的分割治療例の5例に狭窄を認めた.APC治療後に異時性食道多発癌へ内視鏡治療を10例に行ったが,局所制御は概ね良好であった。内視鏡切除を簡単に選択できない,ハイリスク症例への治療選択肢として有用である。
  • 山崎 直哉, 土谷 智史, 松本 桂太郎, 宮崎 拓郎, 下山 孝一郎, 谷口 大輔, 小畑 智裕, 高木 克典, 渡辺 洋之助, 町野 隆 ...
    2015 年66 巻5 号 p. 341-350
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル 認証あり
    中枢気道狭窄は致死的となる場合があり,手術不能な症例には気道インターベンションを駆使して呼吸困難,QOLの改善を得ることが可能である。当科で施行した中枢気道狭窄に対するステント留置術,3Dプリンターを用いた気管支模型作成の有用性を報告する。対象は2005年から2014年までの10年間に中枢気道狭窄に対して気道インターベンションを行った50例 (58回) 。最近,ステント留置前に3Dプリンターで気管気管支模型を作成し,挿入シミュレーションに活用した。疾患の内訳は悪性腫瘍47例,気管支形成後の吻合部狭窄3例であった。ステントの種類はシリコンステントのみ45例 (Y型30例,ストレート15例),シリコンY+金属ステント4例,金属ステントのみ1例。5例にExtracorporeal membrane oxygenation (ECMO) を使用した。ステント留置後の呼吸困難の改善は42例 (84%) で得られた。悪性疾患47例の中間生存期間は152日 (11~1,417日),1年生存率23.8%であった。ステント留置後に化学療法 (+放射線治療) が行えた26例の中間生存期間は259日で無治療21例の47日より有意に良好であった (p=0.0008) 。中枢気道狭窄に対する気道インターベンションは呼吸困難の改善,追加治療による予後延長に有効である。3Dプリンターによる気管支模型の作成により狭窄の範囲や程度,形状を立体的にとらえ,ステントの径,長さを術前より正確にシミュレーション可能である。
  • 白石 武史
    2015 年66 巻5 号 p. 351-356
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル 認証あり
    気道インターベンション治療とは,良悪性の気道狭窄病変に対して「硬性あるいは軟性内視鏡下」に実施される「非手術的な外科的治療」を指す。腫瘍による気道の壁外性圧迫や気道内腔への浸潤によって発生した気道狭窄に対し,気道腔のバルーン拡張手技やコアアウトによる狭窄病変の除去によって閉塞を解除し,さらにステントによって気道の開孔を維持するのが一般的な気道インターベンション治療である。一方,小児の気道インターベンション治療はそのほとんどが気道異物の除去である。先天性気管狭窄に対して気道ブジーが実施される場合等もあるが,一般的ではない。そもそも小児においては気道インターベンション治療を要するような気道の腫瘍性病変も極めて稀である。日常的に遭遇する小児の気道異物は「豆類」が原因であることがよく知られている。離乳食や通常食に移行した1歳以降に好発する。小児の気道インターベンションの特徴は,①患者の体格が小さく使用器具が制限されること,②治療に対する協力が得られにくいこと,の2点があげられ,麻酔にも特段の注意を要する。成人用に設計された気道インターベンション器具を如何に安全に小児に使用するかが重要な点となる。本稿では,気道異物を主体に小児気道インターベンション治療の注意点と工夫を紹介する。
用語解説
feedback
Top