日本気管食道科学会会報
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67 巻, 1 号
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原著
  • 江川 峻哉, 池田 賢一郎, 池谷 洋一, 櫛橋 幸民, 高橋 郷, 小林 斉, 寺崎 雅子, 木村 百合香, 小林 一女, 嶋根 俊和
    2016 年67 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/25
    ジャーナル 認証あり
    障害された嚥下機能を補い誤嚥を消失あるいは軽減させ経口摂取を可能にすることを目的とした嚥下機能改善手術と,誤嚥性肺炎を回避することを目的とした誤嚥防止手術は,嚥下障害に対する外科的治療として近年広く認知されるようになってきた。気管と食道を分離し誤嚥を防止する手術を総称して誤嚥防止手術と呼び,その適応は重度誤嚥患者に限られる。今回われわれは2013年11月から2015年3月までの16カ月間に鹿野らによって報告された輪状軟骨鉗除を併用する声門閉鎖術を重度誤嚥患者8症例に対して施行し良好な結果を得たので症例呈示を含め報告する。
  • 岡田 拓朗, 小川 恭生, 船戸 宣利, 鈴木 衞
    2016 年67 巻1 号 p. 7-13
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/25
    ジャーナル 認証あり
    肺炎は日本人の死因の第3位であり増加傾向である。肺炎の多くは嚥下障害に起因するものであり,嚥下障害の診療の重要性は高い。今回,われわれは当科嚥下外来を2012年1月から2013年8月までに受診した初診患者364例について検討した。男性241例,女性123例で,平均年齢は71歳であった。75歳以上の後期高齢者は201例 (55%) を占めていた。疾患分類別では,脳血管疾患が65例 (18%) と最も多く,神経筋疾患57例 (15%),頭頸部疾患48例 (13%),脳損傷22例 (6%),小児6例 (2%),内科的疾患57例 (16%),その他109例 (30%) であった。ADLが良いと誤嚥が少なく (*p<0.05),経口摂取可能となりやすかった (**p<0.01) 。声帯麻痺があると誤嚥を起こしやすかった (*p<0.05) 。初診時に誤嚥のなかった症例は経口摂取可能となりやすかった (**p<0.01) 。初診時に誤嚥がなくても,肺炎の既往がある症例,脳血管障害の既往がある症例,認知症がある症例は経口摂取が困難になりやすかった。今回の嚥下障害の検討はVEのみでの評価であるため,今後はVFを含めて更なる検討をしていきたい。
  • 山田 光一郎, 田中 信三, 平塚 康之, 草野 純子, 吉松 誠芳
    2016 年67 巻1 号 p. 14-19
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/25
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    [はじめに]2003年11月から2013年4月までに大阪赤十字病院で初回手術を施行した甲状腺乳頭癌255例を対象とし,リンパ節転移の大きさと数に関する予後因子としての重要性を検討した。[結果]原病死の危険因子は,単変量解析では原発巣の腫瘍径 (3 cmを越える),腺外浸潤 (Ex2),遠隔転移,リンパ節転移の大きさ (4 cm以上) であり,多変量解析では遠隔転移であった。頸部再発の危険因子は,単変量解析では原発巣の腫瘍径 (3 cmを越える),腺外浸潤 (Ex2),リンパ節転移の数 (5個以上),外側区域リンパ節転移 (1個以上) であり,多変量解析では腺外浸潤とリンパ節転移の数であった。遠隔再発の危険因子は,単変量解析では年齢 (60歳以上),原発巣の長径 (3 cmを越える),腺外浸潤 (Ex2),リンパ節転移の大きさ (4 cm以上) であり,多変量解析では原発巣の腫瘍径と腺外浸潤であった。[結論]リンパ節転移の大きさは原病死と遠隔再発の危険因子であり,リンパ節転移の数は頸部再発の強力な危険因子であった。
症例
  • 稲守 真璃, 望月 隆一, 山下 麻紀, 中谷 彩香, 牟田 弘
    2016 年67 巻1 号 p. 20-24
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/25
    ジャーナル 認証あり
    両側声帯麻痺における呼吸困難に対し気管切開術や声門開大術が施行されることが多い。今回われわれは,両側輪状甲状筋へのボツリヌムトキシン注射により改善した両側声帯麻痺における呼吸困難の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。症例は57歳女性,他院で甲状腺右葉乳頭癌に対し甲状腺右葉切除術および右頸部郭清術を施行された。術後,両側声帯傍正中位固定を指摘され,それによる呼吸困難・夜間喘鳴を認めたため,治療目的で当科紹介となった。精査にて吸気時に両側輪状甲状筋が収縮することにより声門が伸展し声門間隙が狭小化することが呼吸困難の原因と診断し,両側輪状甲状筋にボツリヌムトキシンを注射し,症状改善を認めた。現在,患者は数カ月ごとの注射施行により気管切開などの観血的処置を行うことなく日常生活を送れている。ボツリヌムトキシン注射は数カ月ごとの再注射を必要とするが大きな侵襲性はなく,必要時の声門開大術や気管切開術などを選択肢として残しておけるため,両側声帯麻痺による同様の病態を呈する場合の呼吸困難に対する治療法として輪状甲状筋へのボツリヌムトキシン注射は有効な治療法の1つとなりえると考えられた。
  • 石永 一, 中村 哲, 森下 裕之, 竹内 万彦
    2016 年67 巻1 号 p. 25-30
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/25
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    咽頭食道憩室は解剖学的位置にて分類され,最も多いものが下咽頭収縮筋の下方でかつ,輪状咽頭筋の上方から発生するZenker憩室である。Killian-Jamieson憩室はZenker憩室より頻度は少なく,輪状咽頭筋の下方から発生し,食道の前側方に存在する。われわれは最近2例のKillian-Jamieson憩室を治療する機会を得た。2症例とも術前の食道造影やCT/MRIで咽頭食道憩室と判明した。治療は当院で行われ,頸部外切開法にて憩室切除術が行われた。憩室はLamier三角から発生していることが確認された。術後経過は良好で,術後食道造影検査でも良好な結果であった。そのため,2例とも術後2週間以内に退院となった。
  • 奥田 弘, 水田 啓介, 若岡 敬紀, 棚橋 重聡, 西堀 丈純, 久世 文也, 青木 光広, 伊藤 八次
    2016 年67 巻1 号 p. 31-36
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/25
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    肥厚性硬膜炎は比較的稀な疾患であり,多彩な脳神経症状をきたすが,嚥下障害や嗄声など,下位脳神経障害を発症することがある。近年,多発性血管炎性肉芽腫症 (旧:Wegener肉芽腫症) との関連が指摘されており,両者を併発した事例も報告されている。今回,多発性血管炎性肉芽腫症の経過中に多発脳神経障害を発症し,肥厚膜性硬膜炎の診断に至った1例を経験した。嚥下障害の出現を契機に中枢性病変を疑い,頭部MRIを撮影したことが診断に有用であった。また,ステロイドの増量が多発性血管炎性肉芽腫症の進行を抑制したと考えられた。本例は多発性血管炎性肉芽腫症の確定診断には至っていないが,この疾患は臨床経過が強く疑われるにもかかわらず,診断基準を満たさない場合が多いことが知られている。ともに進行すると治療困難な疾患であり,早期治療が必要である。
用語解説
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