日本気管食道科学会会報
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69 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 鈴木 猛司, 関 洋介, 松村 倫明, 船越 うらら, 櫻井 大樹, 岡本 美孝, 笠間 和典, 梅澤 昭子, 黒川 良望, 北方 敏敬
    2018 年69 巻4 号 p. 229-235
    発行日: 2018/08/10
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル 認証あり

    慢性咳嗽の原因としてGERDは鑑別の一つとなりうるが,本邦では欧米に比較し,その割合は低いと考えられている。しかし,PPI抵抗性のGERDや食道粘膜障害を伴わないNERDの存在,また,日本人の肥満率は欧米のそれと比べ低いことから日本人のGERD罹患率が低く見積もられている可能性がある。近年,24時間下咽頭食道多チャンネルpHインピーダンス検査 (HMII) が開発され,確定診断が難しかった咽喉頭逆流 (LPR) を測定することができるようになった。本研究は,本邦で初めてHMIIを用い,日本人の原因不明慢性咳嗽患者における咽喉頭逆流症 (LPRD) の関与を検討する目的で行った。日本人原因不明慢性咳嗽患者の73%にabnormal proximal exposure (APE) を認め,難治性慢性咳嗽はLPRを含めた胃内容物の高位逆流が原因である可能性が示唆された。また,DeMeester scoreは63%が正常であり,約40%のLPRまたは食道高位への逆流は非酸性の逆流であり,24時間pHモニタリングでは診断が難しく,難治性慢性咳嗽の診断にはHMIIが必要であると考えられた。

症例
  • 稲木 香苗, 大久保 啓介, 猪狩 雄一, 三橋 正継
    2018 年69 巻4 号 p. 236-243
    発行日: 2018/08/10
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル 認証あり

    声門下狭窄症は声帯より下部の輪状軟骨周囲が先天性,または後天性に狭窄し気道狭窄による呼吸困難をきたす。後天性声門下狭窄症は呼吸管理における不適切なサイズの気管内チューブの使用,高位気管切開などが原因となり発症する。多くの症例では気道狭窄による呼吸困難に対して気管切開術が行われるが,長期間気管カニューレの挿入を余儀なくされ,カニューレ抜去困難症を併発し治療は難渋する。治療はこれまで複数の術式が報告されているが,いずれの術式においても治療は長期間,複数回の手術を要することが多い。最終的な治療目標は,気管孔肉芽瘢痕の処置,気道の安定,発声の回復,カニューレ離脱,気管孔閉鎖など症例によりさまざまである。輪状軟骨鉗除による気管孔拡大形成術は早期に発声やカニューレ離脱が可能となり,在宅でも気道管理が安全な術式である。本術式は気管切開孔を輪状軟骨レベルまで口側に拡大して縦長の気管孔を作成するために,カニューレ抜去困難症の原因となる気管孔肉芽瘢痕や変形に対する手術を同時に行うことができる利点がある。今回われわれは4例に対して本術式を行い,うち2例は気管孔閉鎖に至った。当院での本術式の臨床経過について報告する。

  • 木ノ下 義宏
    2018 年69 巻4 号 p. 244-247
    発行日: 2018/08/10
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル 認証あり

    右鎖骨下動脈起始異常 (aberrant right subclavian artery : ARSA) を合併した食道癌のリンパ節郭清において,右下喉頭神経 (right inferior laryngeal nerve : RILN) は確実に温存されなければならない。頸部で迷走神経から気管方向へ横走するRILNの走行は一定していないため術中神経モニタリング (intra-operative neuromonitoring : IONM) を使用する。右頸部で甲状腺上極から鎖骨上まで迷走神経外側を剥離し,頭側から徐々に尾側へ向けて迷走神経を電気刺激していくと声帯運動が途絶える点がある。この分解点にRILNが位置すると予想し総頸動脈裏面を剥離する。RILNと思われる神経に刺激電極で反応することが確認できればその神経を温存し周囲を郭清する。本手技により確実にRILNを温存することができる。

  • 中島 務, 山木 健市
    2018 年69 巻4 号 p. 248-254
    発行日: 2018/08/10
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル 認証あり

    呼吸困難があった重症心身障害者2症例を320列CTで評価した。症例1は,脳性麻痺を持つ24歳男性。呼吸困難の原因として気管カニューレ先端より末梢側の部分で気管軟化症があると考えられていたが,CTでは吸気時,呼気時とも,気管の狭小化所見は認められなかった。しかしながら側弯症と関連する右気管支狭窄所見を認めた。症例2は,脳性麻痺を持つ52歳男性で仰臥位で呼吸困難が強くなり,仰臥位と腹臥位でCTを行った。軟口蓋と喉頭蓋が,重力方向に容易に移動し,仰臥位では軟口蓋が咽頭後壁に広範囲に接する所見があった。320列CTは,気道狭窄の呼気時,吸気時の両方を評価するのに有用である。両症例ともCobb角100度以上と重症心身障害者に多い高度の側弯症を有していた。重度の側弯症では気道狭窄をきたすことが多く,胃食道逆流も多い。日本における重症心身障害者施設の現状とともに,重症心身障害の医学・医療においては多分野が共同して研究を進めていく必要性について述べた。

  • 世良 武大, 濱本 隆夫, 谷 博雄, 小野 大地, 上田 勉, 竹野 幸夫
    2018 年69 巻4 号 p. 255-260
    発行日: 2018/08/10
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル 認証あり

    鋳型気管支炎はアレルギー疾患やインフルエンザウイルス感染,心疾患の術後などが原因とされる。気管支異物の鑑別に困難を要した鋳型気管支炎 (plastic bronchitis : PB) の1例を報告する。症例は4歳,男児。著明な喘鳴を認め,左肺の呼吸音の低下,画像評価で左肺の完全無気肺を認めたが,明らかな閉塞異物が特定できずに小児科から当科へ紹介となった。全身麻酔下に気管支鏡を施行し,粘液栓が確認され,除去後に酸素化の改善を認めた。耳鼻咽喉科領域では比較的稀な症例であるが,気管支異物との鑑別として本疾患の存在を念頭に置き,適切な対応を行う必要がある。

  • 阿部 康範, 三谷 壮平, 羽藤 直人
    2018 年69 巻4 号 p. 261-267
    発行日: 2018/08/10
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル 認証あり

    特発性舌下間隙血腫は非常に稀な疾患であるが,気道閉塞をきたす危険性が高く,気道管理が非常に重要な疾患である。今回,特発性舌下間隙血腫の1例を経験したので報告する。症例は60歳代後半の女性で当院内科に成人T細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の終末期として入院中であった。症状緩和目的のステロイドでのハーフパルス療法後より咽頭痛,嚥下困難感,口腔内出血を認めたため当科紹介受診した。当科初診時,舌根部に粘膜下血腫による腫脹を認めたが,気道は保たれていた。画像検査から舌下間隙血腫と診断し,4時間後に再度確認したところ血腫は明らかに増大しており,造影CTでその中央部に出血点と思われる造影剤の漏出を認めたため,気管切開と止血,血腫除去術を施行した。術後,血腫は消退傾向を示していたが,術後3日目よりATLLの中枢浸潤と考えられる意識レベルの低下を認め,術後14日目に永眠された。特発性舌下間隙症例に対して,気道に注意して経過をみることで比較的安全に気道確保を行うことができた。出血と血腫に対しては,危険因子に対する治療を行うことで軽快することが多いが,合併症には注意が必要である。

用語解説
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