日本気管食道科学会会報
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70 巻, 1 号
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原著
  • 甲藤 麻衣, 雲井 一夫
    2019 年70 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2019/02/10
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル 認証あり

    本邦における結核患者数は1999年以降減少傾向であるが,咽頭・喉頭結核の報告例は2007年以降横ばいの経過をたどっている。今回,われわれは2011年~2017年の間に喉頭結核10症例を経験した。病型としては肉芽腫型が6例と最多であった。症例の抗酸菌喀痰検査での陽性率は初診時の塗抹検査で10例中6例(60%)であったが,培養検査は初診時に塗抹検査が陰性であった検体も含めすべての検体で結核菌が陽性(100%)であった。初診時に塗抹検査が陰性となった4例のうち3例は再検査で陽性となった。polymerase chain reaction(PCR)法は施行した9例中8例(88%)で結核菌が陽性であった。胸部単純X線写真では異常が7例(70%),胸部CTでは全例で異常所見を認めた(100%)。生検で結核と診断できたのは5例中2例(40%)であった。喉頭結核は,疑うことがなければ診断に難渋する疾患であるため,抗酸菌喀痰検査,画像検査など多方面から適切な検査を行うことが重要である。

  • 木村 朱里, 宮本 俊輔, 細野 浩史, 山下 拓
    2019 年70 巻1 号 p. 9-16
    発行日: 2019/02/10
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル 認証あり

    降下性壊死性縦隔炎は深頸部感染症が縦隔まで波及する疾患である。敗血症をはじめとした重篤な状態に陥り致死的となりうることから,耳鼻咽喉科医は常に留意して診察にあたるべきである。2012年1月から2016年12月の5年間に北里大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診した深頸部感染症例の中で降下性壊死性縦隔炎をきたし縦隔ドレナージを施行した9例の臨床的検討を行った。性別は男性6例,女性3例であり年齢は48~71歳(平均64歳,中央値67歳)であった。初診時血液所見は平均WBC 14830/ µl, CRP 33.5 mg/dlであった。当院受診から初回ドレナージまでの日数は0~5日であり,また初回頸部ドレナージのみを行った例において縦隔ドレナージまでの期間は1~7日 (中央値3.5日) であった。入院日数は32~222日 (中央値75日),ICU滞在日数は12~126日 (中央値20日) であった。ICU入室中よりリハビリテーションを行い,最終的に全例が経口摂取可能となった。死亡例や重篤な後遺症を残したものはなく,感染に対する治療方針は妥当であると考えた。また,早期のリハビリ介入が嚥下機能の低下を防ぎ経口摂取可能となった要因と考えた。

  • 江川 峻哉, 丸山 祐樹, 新井 佐和, 北嶋 達也, 粟倉 秀幸, 櫛橋 幸民, 池田 賢一郎, 小林 一女, 嶋根 俊和
    2019 年70 巻1 号 p. 17-24
    発行日: 2019/02/10
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル 認証あり

    2014年11月から2017年10月の3年間で局所進行頭頸部扁平上皮癌の一次治療としてCDDP-RTを施行した15例とCmab-RTを施行した14例について患者背景,入院期間,一次治療効果,治療完遂率,over all survival,有害事象を統計学的に検討した。患者背景での検討ではCmab-RT群は全身状態の悪い症例に適用されることが多く,入院期間も有意に長い傾向にあったが,完遂率,一次治療効果,生存率に有意差を認めなかった。有害事象はGrade3以上の嚥下障害とGrade2以上の放射線性皮膚炎が有意にCmab-RT群で発現頻度が高かった。Cmab-RTはその推奨度から全身状態の悪い症例に選択されることが多いが,十分な支持療法を行うことでCDDP-RT群と同等の治療効果を得ることができると考える。

症例
  • 山口 宗太, 角田 真弓, 藤井 可絵, 遠山 悟史, 守本 倫子
    2019 年70 巻1 号 p. 25-29
    発行日: 2019/02/10
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル 認証あり

    症例は1歳9カ月男児。在胎28週3日で出生し,計14日間気管内挿管されていた。1歳8カ月頃から吸気性喘鳴を認め保存的治療を行うも改善を認めなかった。頸部造影CTで声門下に4×4 mmの周囲に造影効果のある嚢胞性の陰影を認め,喉頭内視鏡検査で声門下に腫瘤を認めた。腫瘤が大きく,また喘鳴が強く呼吸困難も出現していたため,気道管理目的に当院に緊急搬送され入院した。気管内挿管後に腫瘤を暫定的に切開したところ白色漿液性の液体が排出され嚢胞は縮小し,声門下嚢胞と確定診断した。その後入院16日目に全身麻酔下に無挿管で声門下嚢胞開窓術を施行した。開窓術中にいつでも気管切開できるように準備をし,また手術操作前に喉頭にリドカインポンプスプレー8%を噴霧し喉頭痙攣の予防に努めた。深い鎮静下で筋弛緩薬は使用せず,無挿管で喉頭鏡をかけマイクロデブリッダーを用いて嚢胞壁を可及的に切除した。嚢胞壁は気管内腔側のみ切除し,気管壁側は声門下の瘢痕や癒着を防止するため温存した。術後気道のトラブルはなく,吸気性喘鳴は完全に消失し,開窓術後9カ月の時点でも声門下嚢胞の再発は認めていない。

  • 真栄田 裕行, 嘉陽 祐紀, 金城 秀俊, 上里 迅, 安慶名 信也, 又吉 宣, 鈴木 幹男
    2019 年70 巻1 号 p. 30-37
    発行日: 2019/02/10
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル 認証あり

    今回われわれは気管内壁に再発した頸部気管支嚢胞腺癌の1例を経験した。症例は71歳の女性。甲状腺全摘術および頸部郭清術後ほどなく気管内壁に再発した。腫瘍切除後の気管再建には肋軟骨と歯科用印象材を用いた。構造体としての強度を得るため肋軟骨片により気管外枠を作成した。また歯科用印象材を充填した手術用ゴムグローブを気管内にステントとして留置した。術後3年目腫瘍の再発は認められず,十分な強度と呼吸道としての内腔が保持された気管が再建できた。歯科用印象材は気管内腔を形成するためのステントとして有用な材料である。

用語解説
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