日本気管食道科学会会報
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原著
  • ─適切な気管切開の重要性─
    東野 正明, 西村 尋眸, 稲中 優子, 河田 了
    2022 年 73 巻 4 号 p. 263-272
    発行日: 2022/08/10
    公開日: 2022/08/25
    ジャーナル 認証あり

    気管切開術後に呼吸状態や全身状態が改善した場合,われわれは患者の経口摂取の再開や発声機能の回復を目指して努力する必要がある。しかし,不適切な部位で気管切開術をされ,術後管理が不十分であると,それらの機能が回復しない場合がある。症例1は83歳男性,輪状甲状靭帯に気管切開カニューレが留置され,そのまま経過観察されていたため,喉頭挙上障害と声門下狭窄を生じた。症例2は86歳男性,気管の右側面から気管切開孔が作成されたため,喉頭挙上障害と右声帯麻痺を生じた。症例3は78歳女性,高位気管切開で輪状軟骨を損傷し,喉頭挙上障害と声門下狭窄を生じた。われわれはこれら3症例に対して,適切な位置に気管孔を作り直した。症例1では喉頭挙上と声門下狭窄が改善し,気管孔を閉鎖できた。症例2では喉頭挙上と右声帯麻痺が改善し,気管孔を閉鎖できた。症例3では輪状軟骨前面を切除し,縦長の気管孔を作成した。気管孔の閉鎖は困難であったが,気管切開カニューレが不要になった。いずれの症例も再手術で気管孔を適切な位置にすることで,経口摂取が可能になった。適切な気管切開を施行することは,術後の嚥下機能や発声機能の改善に重要である。

症例
  • 見澤 大輔, 中村 一博, 長谷川 央, 黄田 忠義, 馬場 剛士, 大島 猛史
    2022 年 73 巻 4 号 p. 273-278
    発行日: 2022/08/10
    公開日: 2022/08/25
    ジャーナル 認証あり

    甲状軟骨形成術4型(TP4)は牽引糸を用いて甲状軟骨と輪状軟骨を近接させ話声位を上昇させる術式である。牽引糸の固定のために人工材料を用いることがある。今回われわれは,術後13年に牽引糸とゴアテックス®(GT)に感染がおこり肉芽腫を形成した症例を経験したので報告する。症例は78歳男性で,200X年に性同一性障害と診断され,200X+1年に甲状軟骨形成術4型および喉頭隆起切除術を施行された。200X+14年に前頸部に腫瘤が出現し当科を紹介され受診した。頸部皮膚正中に感染を伴う肉芽様病変と,前連合部にGTと思われる異物を認めた。音声所見はG2R2B2, SFF 269Hz, Jitter係数4.43%,Shimmer係数7.87%,NHR 19.6dB, VHI 63/120点であった。全身麻酔下で肉芽およびGT,牽引糸を除去した。甲状軟骨に喉頭内腔への穿孔があり前頸筋群で被覆した。人工材料であるTP4の牽引糸とGTは感染の原因になりうることが再認識された。牽引糸とGTを除去してもSFFは低下せず,音声所見に変化はなかった。この1例の経験であるが,TP4が長期経過すると不可逆になりうることが示唆された。

  • 梶山 泰平, 兵頭 政光
    2022 年 73 巻 4 号 p. 279-285
    発行日: 2022/08/10
    公開日: 2022/08/25
    ジャーナル 認証あり

    嚥下時に咽喉頭部の違和感やつかえ感,嚥下困難感などを訴える患者では,時に食道疾患が原因となることがある。今回,食道運動機能障害による嚥下障害例を経験し,硝酸イソソルビド,カルシウム拮抗薬,および芍薬甘草湯の併用により症状の改善が得られた。症例は62歳,男性。約10カ月前より錠剤を内服する際に嚥下困難感を自覚していた。1年間で約10kgの体重減少があった。嚥下内視鏡検査および上部消化管内視鏡検査では異常を認めなかったが,嚥下造影検査で上部食道括約部の開大障害,胸部食道の蠕動運動障害,下部食道括約部の開大障害を認めた。食道運動機能障害と診断し,硝酸イソソルビド,カルシウム拮抗薬,芍薬甘草湯の投薬を開始した。投薬後症状は徐々に改善し,1カ月後の再診時には嚥下困難はほぼ消失した。嚥下障害の原因は多岐にわたることから,嚥下障害症状が長期にわたって持続したり進行性であったりする場合には食道疾患も鑑別することが必要と考える。

  • 藤田 智貴, 豊田 健一郎, 岡野 博之
    2022 年 73 巻 4 号 p. 286-291
    発行日: 2022/08/10
    公開日: 2022/08/25
    ジャーナル 認証あり

    症例は80代女性,自覚症状はなく画像検査で異物を指摘され当科紹介となった。各種検査により金属製異物が甲状腺右葉付近の咽頭食道腔外へ完全迷入していると考えられた。膿瘍などの炎症所見は認めなかった。内視鏡的に異物を確認することができず,経内視鏡的および経口腔的に摘出不可能であるため,異物摘出には外切開が必要と判断した。頸部超音波検査や3D-CT等で異物局在を詳細に検討後,全身麻酔下に頸部外切開による異物摘出術を施行した。術前検査通り歯冠異物を咽頭腔外に認め,反回神経を損傷せずに摘出しえた。術後は問題なく経過した。咽頭食道腔外に完全に迷入し,炎症所見などを認めない異物では発見まで時間を要する場合がある。摘出には外切開が必要となることが多く,術前の詳細な検討により安全かつ確実に異物の摘出が可能と考える。

用語解説
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