日本醸造協会誌
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104 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
解説
  • 大坪 研一
    2009 年 104 巻 6 号 p. 397
    発行日: 2009年
    公開日: 2016/02/08
    ジャーナル フリー
  • 上野ミュラー 佳子
    2009 年 104 巻 6 号 p. 398-404
    発行日: 2009年
    公開日: 2016/02/08
    ジャーナル フリー
    ドイツ在住の著者は,現地でもおいしい日本酒が飲みたい!との要望と日本酒の良さが正しく伝えられていないことに義憤を感じ,自身で日本酒を直輸入し,ドイツや欧州諸国の顧客に販売しながら,啓蒙・普及を目指す会社を立ち上げた。以来4年余,現地で高級日本酒を定着させるまでの足跡と現状,そして将来展望を述べていただいた。貴重な体験の中から「SAKE」が外国で広く受け入れてもらうためには,何が必要かを汲み取っていただきたい。
  • 鈴木 市郎, 武田 穣, 小泉 淳一
    2009 年 104 巻 6 号 p. 405-411
    発行日: 2009年
    公開日: 2016/02/08
    ジャーナル フリー
    清酒醸造において,鉄は麹菌の生産する無色のデフェリクリシンと反応して赤褐色のフェリクリシンとなり,着色の原因となる。さらに,マンガンと鉄はアミノカルボニル反応の触媒となり,清酒の着色を促進する。したがって,清酒醸造において使用される醸造用水は,着色防止のために鉄・マンガン含量が少ない水が要求される。著者らは微生物群集を用いたバイオフィルトレーションによる地下水からの除鉄・除マンガンについて解説しているので,清酒メーカーの参考となると考えられる。
  • 中村 訓男
    2009 年 104 巻 6 号 p. 412-424
    発行日: 2009年
    公開日: 2016/02/08
    ジャーナル フリー
    食酢は塩と並ぶ人類最古の調味料である。西洋において食酢が記録に表れたのは,遠くメソポタミア文明の時代であった。一方,東洋では我が国の縄文時代に中国の食卓に現れた。中国で開発された食酢の製造技術は5世紀(古墳時代中期)に入り,酒の醸造技術と相前後して日本に入った。江戸時代までは,酢を日常的に食していたのは特権階級であったが,江戸に庶民文化が花開いた頃,酢の文化も開花した。中でも寿司は特筆すべきものである。ご飯に酢を混ぜて押し寿司にする「早寿司」,酢漬けの魚を握った「握り寿司」,油揚げで作る「稲荷寿司」などで,今日の寿司の原点ともいわれている。そこで今回は,江戸時代からの酢の造り方について古文書から解説を頂くと共に,食酢の生産量の推移や今後の展望について纏めて頂いた。
  • 加藤 百一
    2009 年 104 巻 6 号 p. 425-431
    発行日: 2009年
    公開日: 2016/02/08
    ジャーナル フリー
  • 編集部
    2009 年 104 巻 6 号 p. 432-467
    発行日: 2009年
    公開日: 2016/02/08
    ジャーナル フリー
    平成20年度における味噌に関する研究業績は,原料,微生物関連の研究成果がやや低調となり,成分分析,機能性,おいしさの研究報告が相対的に比重を増している傾向がみられる。微生物関連では,麹菌に関する研究成果が一部で新しい動きを見せているが,全般的には新しい観点からの研究の促進が望まれるところである。今後の,超高齢化社会,日本食の海外展開を考えるときに,日本食において味噌はきわめて重要な調味料であり,栄養価の高い食品であることから,原料,微生物関連の研究とともに食品としての美味しさや食文化に関する研究も展開していくことも今後の研究発展につながると考えられる。
    平成20年度の食酢の研究業績を見ると,本年度も多方面に亘っている。原料および原料処理では,昨年度と同様に種々の原料を使用し食酢を製造しており,健康酢としての特徴を意識したものが多かった。酢酸菌の研究では,分離株の同定はもとより,それぞれの研究で特徴ある酢酸菌を見出しており,有用株を食酢製造に応用してもらいたい。酢酸発酵プロセスと解析では,効率の良い発酵技術の開発は多かったが,エネルギー源のコストを低減させる研究は少なかった。機能性については,種々の食酢の健康効果が検証されているが,中でも黒酢と焼酎の蒸留粕を原料として製造された食酢の研究が多かった。今後も一層の研究開発と業界の発展を期待したい。
研究
  • 渡部 貴志, 田中 未来, 岡田 真実, 正木 和夫, 藤井 力, 家藤 治幸
    2009 年 104 巻 6 号 p. 495-501
    発行日: 2009年
    公開日: 2016/02/08
    ジャーナル フリー
    研究では,難脱色性の糖蜜色素を含み,その安価で効率的な処理方法が求められている黒糖焼酎蒸留粕を,栄養源を添加しなくても脱色する糸状菌P. oxalicum d株を単離し,活性汚泥法とオゾン処理を併用した処理方法の検討を行った。本研究で得られた結果を以下に列挙する。
    1) 自然界から広く黒糖焼酎蒸留粕を脱色する微生物の探索を行ったところ,単離した糸状菌P. oxalicum d株は栄養源を添加しなくても,3倍希釈の黒糖焼酎蒸留粕を30℃,72時間の振とう処理で最大47%脱色した。
    2) 単離した糸状菌P. oxalicum d株は,黒糖焼酎蒸留粕中の有機物を利用して旺盛に増殖し,黒糖焼酎蒸留粕を脱色するだけでなく,廃液中のDOC,DTN及びDTPをそれぞれ51%,78%,86%除去した。
    3) 菌糸体への吸着試験の結果より,P. oxalicum d株による黒糖焼酎蒸留粕の主要な脱色機構は,菌体への糖蜜色素の吸着が考えられた。また,生菌体の方が死菌体より糖蜜色素の減少量が多く,生物学的な脱色の関与も考えられた。
    4) P. oxalicum d株により黒糖焼酎蒸留粕を処理することによって,オゾンによる脱色処理にかかる時間は,処理前の2分の1まで短縮され,さらに後段に活性汚泥処理を行うことで6分の1まで短縮された。
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