日本醸造協会誌

解説

健康で豊かな食を支える発酵食品の新展開に期待

林清

2010 年 105 巻 12 号 p. 761
発行日: 2010年
公開日: 2016/02/05

DOIhttps://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.105.761

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麹菌胞子の耐久性に関わる遺伝子の発現制御機構について

坂本和俊

2010 年 105 巻 12 号 p. 762-769
発行日: 2010年
公開日: 2016/02/05

DOIhttps://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.105.762

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麹菌は醸造発酵食品の製造に不可欠の微生物であり，わが国の醸造食品，食文化を支える国菌として醸造から酵素産業において広く用いられている。2005年に麹菌ゲノム配列解析が完了し，遺伝子からの研究や利用技術の開発が急速に進展しつつある。麹の元となる種麹の耐久性，胞子発芽性，保存性は種麹の品質のみならず，醸造工程での麹の生育にもかかわる注目点であり，高い発芽性を保持するために伝統的な種麹保存手法が編み出されてきた。
最近，広く活用されるようになったゲノム情報を利用して，種麹の発芽時に特異的に高発現する遺伝子や発現制御遺伝子を網羅的にとらえ，従来の保存法の的確性が科学的に解明されている。本解説では，麹菌のトランスクリプトーム解析の先端を走る研究者である著者に，麹菌胞子の耐久性や麹菌の環境対応に関する遺伝子発現についての最新の研究と今後の期待について解説していただいた。

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燃焼法によるコメの中の全窒素測定の試験室間共同試験

堀田博

2010 年 105 巻 12 号 p. 770-775
発行日: 2010年
公開日: 2016/02/05

DOIhttps://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.105.770

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着色や雑味を防止するために，酒造好適米としてはたんぱく質含量が少ないことが重要である。食品のたんぱく質の定量法として現在広く使われているケルダール法は，有毒なガスや廃液が排出されることが問題となり，近年公害の出ない燃焼法（改良デュマ法）が注目されてきている。既に，醸造酢や醤油の全窒素測定法として，燃焼法がJASの公定分析法の一つに採用されている。そこで，著者に燃焼法によるコメの全窒素測定の妥当性確認のための試験室間共同試験について解説いただいた。

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改良デュマ法によるしょうゆの全窒素定量について

野澤慎太郎

2010 年 105 巻 12 号 p. 776-782
発行日: 2010年
公開日: 2016/02/05

DOIhttps://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.105.776

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しょうゆのJASの格付における全窒素の測定方法はケルダール法で行われてきたが，平成21年8月31日に，新たに燃焼法が定められた。従来のケルダール法は分解時に有害な亜硫酸ガスを発生するので，排気設備の必要性があり，分解促進剤としてCuSO₄を使用するために，重金属廃液の処理も必要であり，分析にも数時間以上かかる。さらに，分析者の技能が問われ，濃硫酸と水酸化ナトリウム水溶液を使用するために，取り扱いを誤ると分析者に危害を及ぼす危険性もある。そこで，このような試薬を使用せず，測定時間が数分と短く，分析者の技能による誤差が生じない燃焼法の改良デュマ法について解説頂いた。改良デュマ法は今回のしょうゆのみならず，多くの醸造食品にも適用できるので，ご一読願いたい。

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ホップの探究

村上敦司

2010 年 105 巻 12 号 p. 783-789
発行日: 2010年
公開日: 2016/02/05

DOIhttps://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.105.783

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ホップは苦みと香りを与えビール醸造には欠かせないものである。ホップはどのように進化してきたのだろうか。これまで原産地等は不明であったが，著者は世界的なネットワークを使って多くの野生種を集め，遺伝子レベルで解析した。

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抄録中国醸造雑誌『醸酒科技』(2010年1月号, 総187号)<研究報告>

大森大陸

2010 年 105 巻 12 号 p. 790
発行日: 2010年
公開日: 2016/02/05

DOIhttps://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.105.790

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研究

サツマイモ発酵エキスと乳成分を利用した新しい乳酸菌飲料の成分特徴と機能性(第2報)

米元俊一, 中野智木, 竹迫寿一, 中野隆之, 侯徳興, 藤井信

2010 年 105 巻 12 号 p. 793-803
発行日: 2010年
公開日: 2016/02/05

DOIhttps://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.105.793

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1. サツマイモ発酵エキス乳酸菌飲料(SDB–S–LF)では乳酸菌飲料(LF)に比較し，遊離アミノ酸量が約5.2倍に増加していた。またGABAが約2倍となっていた。
2. マウスを用いた動物実験においてSDB–S–LFは摂取濃度依存的(10％以上)にIgE抗体産生を抑制した。その効果は，LFやSDB–Sの効果を加算した物となり，IgE抗体抑制効果が強化されたことが明らかとなり，アレルギー抑制効果が認められた。
3. SDB–S–LFは腸内の細菌叢改善(乳酸菌の増加とビフィズス菌の増殖と有害腸内細菌類の減少)が確認され，便秘症の改善も示唆され，プレバイオティクスとして可能性があることが示された。

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