日本醸造協会誌
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106 巻, 8 号
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解説
研究
  • 竹村 朋実, 渡辺 清香, 田中 万祐子, 進藤 斉, 小泉 武夫, 高橋 康次郎
    2011 年106 巻8 号 p. 547-555
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/22
    ジャーナル フリー
     本研究は,長期貯蔵した本みりんの抗酸化性にアミノ・カルボニル反応の後期段階で生成する褐色色素メラノイジンが寄与していることを明らかにしたものである。市販本みりんの着色度と抗酸化性との間にはr=885**(n=19,p<0.01)と高い相関関係が認められた。貯蔵期間の短い一般的な本みりんの着色度(OD430nm)は0.028~0.122と低く,DPPH-ラジカル消去活性から求めた抗酸化性は257~431 Trolox equivalent(μmol/100ml)であった。一方,貯蔵した本みりんの着色度及び抗酸化性は,3年貯蔵本みりんOD430nm:0.676, 抗酸化性:1,064 Trolox eq.(μmol/100ml),10年貯蔵本みりんOD430nm:10.641, 抗酸化性:2,978 Trolox eq.(μmol/100ml)と,貯蔵期間とともに着色度・抗酸化性ともに増加した。精製した着色物質は抗酸化性のピークと重なることから,貯蔵本みりんの抗酸化性は主としてメラノイジンそのものに起因すると考えられた。着色度当りの抗酸化性(Trolox eq./OD430nm/100)は,貯蔵期間の短い本みりんでは35.3~113.4の値を示したが,貯蔵により小さな値となり熟成本みりんでは2.8~15.7の値に,また,精製した着色物質では1.92~5.72 (平均 3.55)に収束した。精製着色物質の分子量は3年貯蔵本みりん26~43KDa,10年貯蔵本みりん34~57KDaと推定され,貯蔵とともに本みりんの着色物質が高分子化し,それに伴い抗酸化性も増加することが認められた。さらに,温度履歴の明確な試験醸造本みりんの貯蔵試験により,着色度の増加とともに抗酸化性が増加することを確認した。
  • 遠藤 路子, 藤田 晃子, 磯谷 敦子, 神田 涼子, 岩下 和裕, 山田 修, 岩田 博, 須藤 茂俊
    2011 年106 巻8 号 p. 556-561
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/02/22
    ジャーナル フリー
    1. Aspergillus oryzae RIB40ゲノムデータベースより,SAM依存性メチルトランスフェラーゼあるいはO-メチルトランスフェラーゼをコードしていると推定されている76遺伝子を抽出した。このうち,37遺伝子について破壊株の作成を試みた結果,34遺伝子の破壊株が得られた。
    2. 遺伝子破壊株を用いてTCP を添加して製麹を行った結果,AO080521000231の遺伝子破壊株を用いた麹においてTCAの生成量が特に少なく,対照株の12%であった。
    3. AO080521000231の遺伝子破壊株を用いてつくった麹のα-アミラーゼ活性,グルコアミラーゼ活性,酸性カルボキシペプチダーゼ活性,酸性プロテアーゼ活性,及び菌体量は対照株やRIB40株の場合と同様であった。
     以上より,AO080521000231が製麹中にTCPのTCAへの変換に関与する主要なO-メチルトランスフェラーゼをコードしている可能性が示唆された。
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