長期間にわたる差しもと試験および焼酎粕を使用した返し仕込みによる芋焼酎製造試験をミニプラントで実証した。得られた結果を以下に要約する。
(1)差しもと後3時間目から6時間,通気・攪拌(0.1 vvm,200 rpm)することにより酵母のトレハロース含量を高く維持でき,結果として酵母の活性を高く維持できることがわかった。
(2)長期間の差しもとを伴う二次仕込みでの最終醪のエタノール濃度は13.1-13.8%であった。常圧蒸留して得られた焼酎の低沸点香気成分は従来法のものと大差なかったが,中高沸点香気成分は高級脂肪酸エチルエステルがやや多くコクのある焼酎であった。
(3)常圧蒸留した焼酎粕を用いて返し仕込みを行った結果,最終エタノール濃度は11.9-12.1%に達した。この値は従来法の値と比較して若干低かったが,醪酸度や揮発酸度,生酸菌反応の結果から問題はないことがわかった。返し仕込みの最終醪を常圧蒸留して得られた焼酎は,従来法と比較して高級脂肪酸エチルエステルが多く味にコクが付与されたものであった。一方,減圧蒸留で得られた焼酎は,高級脂肪酸エチルエステルの生成は抑えられており,すっきりした味わいの焼酎であった。
(4)12名のパネラーによる官能試験を行った結果,最も評価が高かった焼酎は,返し仕込みの常圧蒸留酒でスコアは1.87であった。甘味があり従来法と比べてコクがあり芋らしいという評価を得,品質的にも優れた製品であることがわかった。
(5)使用した酵母は,差しもとを長期間にわたり繰り返しても,またその焼酎粕を用いて返し仕込みを行っても,NTS領域の7箇所の塩基配列が完全に一致したことから,変異が生じたり,蔵付き酵母に置き換わった可能性は少ないと考えられた。
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