日本醸造協会誌
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107 巻, 12 号
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解説
研究
  • ~ANS法による清酒中の疎水度と苦味の相関~
    鈴木 由佳, 金内 誠, 石堂 智子, 森田 明, 下山田 真, 坪田 康信
    2012 年 107 巻 12 号 p. 923-930
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/12/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,消費者の購買意欲と関係する「苦味」を測定する方法について検討し,次の結果を得た。
    (1)官能的な苦味度とANSの蛍光強度(Fl)には極めて高い相関関係(r=0.896,n=28)が認められた。
    (2)紫外部吸収により測定したペプチド濃度と「苦味度」およびペプチド濃度とANS蛍光強度との間に正の相関が見られた。しかしながら,それぞれの相関は0.638,0.678程度であった。相関が低い要因として,ANS法による蛍光を呈しないアミノ酸やアミノ代謝物,α-エチルグルコシドなどによる苦味の影響があることが示唆された。
    (3)モデル系での米タンパク質グルテリンのプロテアーゼ分解物が苦味を呈し,ANS蛍光強度で測定できることがわかった。
    (4)以上の結果から,ANS蛍光法により清酒の苦味度測定のが可能であることが示された。
  • 岸本 宗和, 塩原 貫司, 萩原 健一, 今井 裕景, 柳田 藤寿
    2012 年 107 巻 12 号 p. 931-939
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/12/18
    ジャーナル フリー
    1.セミヨン種ワイン発酵醪および醸造設備から乳酸菌を分離し,そのリンゴ酸分解能を検討した。前期醪から分離された22菌株中の18菌株に,後期醪から分離された24菌株すべてに,醸造設備から分離された10菌株中の1菌株,合計 43菌株にリンゴ酸の分解能が認められた。
    2.16S rDNAのPCR-RFLP解析および塩基配列解析の結果から,前期醪から分離されたリンゴ酸分解能を有する乳酸菌は,Lb. plantarumに,後期醪から分離された乳酸菌はO. oeniに,ワイナリー醸造設備から分離された乳酸菌はP. pentosaceusに分類される可能性が極めて高いことが示された。
    3.リンゴ酸分解率に及ぼすpHの影響について検討したところ,前期醪から分離された09Se-A1-4株はpH 2.9の条件下においても90%以上の高いMLF能を有していた。
    4.セミヨン種ブドウを原料とする小規模試験醸造において,09Se-A1-4株は速やかにMLFを生起し,さらには,クエン酸の消費が少ない特徴を有する菌株であることが認められた。
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