本研究では,消費者の購買意欲と関係する「苦味」を測定する方法について検討し,次の結果を得た。
(1)官能的な苦味度とANSの蛍光強度(Fl)には極めて高い相関関係(r=0.896,n=28)が認められた。
(2)紫外部吸収により測定したペプチド濃度と「苦味度」およびペプチド濃度とANS蛍光強度との間に正の相関が見られた。しかしながら,それぞれの相関は0.638,0.678程度であった。相関が低い要因として,ANS法による蛍光を呈しないアミノ酸やアミノ代謝物,α-エチルグルコシドなどによる苦味の影響があることが示唆された。
(3)モデル系での米タンパク質グルテリンのプロテアーゼ分解物が苦味を呈し,ANS蛍光強度で測定できることがわかった。
(4)以上の結果から,ANS蛍光法により清酒の苦味度測定のが可能であることが示された。
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