日本醸造協会誌
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107 巻, 9 号
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解説
研究
  • 阿部 恭幸, 齋藤 高弘, 岡本 竹己, 佐々木 隆浩, 星 佳宏, 杉江 正美, 〓原 昌司, 志賀 徹
    2012 年107 巻9 号 p. 693-698
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー
    清酒製造工程についてORAC法を基に抗酸化能評価を行った。酒米は精米を30%行う事で,元の玄米の抗酸化性の2割に減少した。製麹工程で,酒米は元の9.3倍までORAC値が増加した。酒母造りで生〓,速醸〓造りともに原料に比べ大きく抗酸化性が高まった。生〓は速醸〓に比べ1.7倍のORAC値を示した。醪製造中においてORAC値は徐々に増加し,酒母の造りの違いによる差は見られなかった。清酒は活性炭を0.5g/L処理する事で,元の清酒の75%のORAC値となった。清酒製造において,酒母では原料に含まれる総ORAC値の32倍,醪製造では5.3倍に増加した。製造される清酒の総ORAC値は,酒母原料の67倍,醪原料の1.3倍となった。生〓造りにおける抗酸化成分の生成速度は酒母製造中で0.05,醪製造中では0.55×104μmolTE/dであった。清酒製造において,製麹過程,酒母,醪製造過程において抗酸化性が増加。よって,麹,酒母の持つ抗酸化性を高める事,麹や酒母の割合を高くする事,活性炭の使用量を減少させる事が高いORAC値を有する清酒の製造に繋がると考えられた。
  • 鈴木 由佳, 金内(神谷) 博子, 金内 誠, 石堂 智子, 森田 明, 坪田 康信
    2012 年107 巻9 号 p. 699-705
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,消費者の購買意欲と消費者の潜在的な嗜好を検討するため,官能評価およびグループインタビューを行った。
    (1)成分値的に標準的な市販清酒(大吟醸・吟醸酒,特別純米・純米酒,本醸造酒,生〓・山廃酒,低アルコール清酒)を用いて20~30代,22人による官能評価を行った。
    (2)「呈味の嗜好/バランス」,「購買意欲」,「苦味」は,高い相関が見られ,消費者にとって苦味が購買意欲に関与する因子の一つであった。
    (3)清酒をよく喫飲するグループ(グループI)の「清酒のイメージ」は,「伝統」,「アルコール」,「年配」というイメージであった。あまり清酒を喫飲しないグループ(グループII)の「清酒のイメージ」は,グループIと同様「年配」,「アルコール」,「伝統」のほかに,「高級」であり,吟醸酒などの特定名称酒のイメージが強いことが推察された。
    (4)グループIの清酒の味のイメージは「甘味」と答える回答が多く,ついで,「アルコール」,「苦味」であった。グループIIの清酒の味のイメージは,「苦味」と答える回答が多く,ついで,「酸味」,「アルコール」で,グループ間に相違があった。また,両グループとも喫飲したくない清酒の味は「苦味」であった。
    (5)消費者の清酒の価値は,官能的にも,イメージ的にも苦味が関与していることが明らかとなった。
    つまり,苦味は「呈味の嗜好/バランス」を下げ,結果的に「購買意欲」を低下させる因子の一つであると推察された。
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