日本醸造協会誌
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108 巻, 6 号
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解説
研究
  • 伊藤 俊彦, 高橋 仁, 志賀 拓也, 佐藤 勉, 中沢 伸重, 岩野 君夫
    2013 年 108 巻 6 号 p. 453-460
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/01/12
    ジャーナル フリー
    清酒麹に残存するアミノ酸について,品種の異なる麹米5点と麹菌17株を用いて清酒麹85個をシャーレ法で製麹し,レベル変動に関与する要因について検討したところ以下の知見を得た。
    1.麹の残存アミノ酸はグルタミンとアルギニンが多く,次いでリジン,グルタミン酸,ロイシン,チロシン,アラニンの順であった。
    2.麹米タンパク質が酵素分解されて生成する全アミノ酸の約80%は麹菌の増殖に利用され,約20%が麹の残存アミノ酸となることが推定された。
    3.麹の残存アミノ酸量の多い麹はタンパク質分解酵素活性が高かった。
    4.麹の残存アミノ酸量は麹米品種と麹菌株に共に影響された。
    5.麹菌株の選択により麹の残存アミノ酸量を約半分に低減できる可能性がある。
  • 奥田 将生, 上用 みどり, 橋爪 克己, 高橋 圭, 後藤 奈美
    2013 年 108 巻 6 号 p. 461-466
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/01/12
    ジャーナル フリー
    平成10年から平成22年酒造年度の全国平均気温平年偏差と清酒製造全体の粕歩合との相関係数を求めた。その結果,8,9月に相関係数が0.7以上と高い正の相関性が見られ,夏場の気温が米の溶解性に影響することが示唆され,前報の結果と傾向が一致した。平成14年から9年間について,7試料の蒸米酵素消化性の平均値と粕歩合は負の相関性を示し,実際に蒸米酵素消化性が低い年は粕歩合が高いことが確認された。さらに同試料について,DSC糊化温度の平均値は粕歩合と正の相関性を示し,DSCの糊化温度が高いすなわちアミロペクチンの長鎖比率の高い年は粕歩合が高いことが確認された。以上より,酒米研究会の定点観測試料の分析結果は,全国的な米の溶解性の傾向を知るのに有効であると考えられた。
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