日本醸造協会誌
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108 巻, 7 号
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解説
研究
  • 松田 章, 有手 友嗣, 中村 静夫, 辻奈 緒子, 澤野 礼奈, 矢野 俊博
    2013 年108 巻7 号 p. 527-538
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー
    清酒醸造では小仕込みと実際の醸造において製成酒の成分含量,特に有機酸含量が変化することが多い。小仕込みの結果と実際の醸造の結果を相似させることを目的として,小仕込みにおける仕込み容器の容量や形状,仕込み総量を変えることによる製成酒の成分含量の変化について検討した。得られた結果は以下のとおり。
    (1)さまざまな形状の容器4 種類を用いて総米100gの小仕込み試験を行った結果,容器の空間高さ・体積,もろみ表面積は値が大きくなるほどリンゴ酸,乳酸が減少,コハク酸が増加した。もろみ高さはそれらと逆の傾向を示した。なかでも,もろみ表面積は強い影響を与えた。
    (2)2000mL,1000mL,500mL,250mL のシリンダーを用いて,総米100g の小仕込み試験を行った結果,容器の空間高さ,空間体積,もろみ表面積の値が大きくなるほどリンゴ酸,乳酸が減少し,コハク酸が増加した。もろみ高さはそれらと逆の傾向を示した。
    (3)密閉ビンを用いて総米100g,200g,300g,400gの小仕込み試験を行った結果,空間体積・高さが大きくなるとリンゴ酸,乳酸が減少し,コハク酸が増加した。もろみ高さ・体積はそれらと逆の傾向を示した。
    (4)2000mL,1000mL,500mLのシリンダーの高さを調節して総米100gの小仕込み試験を行った結果,空間体積・高さ,もろみ表面積が大きくなるほどリンゴ酸,乳酸が減少,コハク酸が増加した。もろみ高さはそれらと逆の傾向を示した。その影響は空間体積・高さに比べて,もろみ表面積・高さで顕著であった。
    (5)製成酒のリンゴ酸,コハク酸,乳酸の含量は仕込み容器,容器空間の違いに影響されることが明らかになった。有機酸含量の相違は,仕込み容器の違いで生じる嫌気的環境の変化に関係しており,それがTCA回路及びグリオキシル酸回路における酵素の働きに影響を与えるのではないかと推察している。
  • 金子 健太郎, 進藤 斉, 佐藤 和夫, 高橋 康次郎
    2013 年108 巻7 号 p. 539-549
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー
    不飽和脂肪酸の水和化能の高い乳酸菌を用いて,焼酎もろみ中でγ-ラクトン類を生成させるための諸条件を検討した。
    1.水和化能の高い乳酸菌をどぶろくから分離し,その中から能力の高い乳酸菌26-a株,26-d株及び41-d株 の3株を分離した。同定の結果,26-a株及び26-d株はLb.brevisと同定されたが,41-d株は同定に至らなかった。
    2.焼酎もろみでの不飽和脂肪酸の供給源として麹エキスや酵母の自己消化物,90%精白米よりは玄米が好ましいことがわかった。
    3.玄米を掛け原料として黒麹(90%精白)を用いた焼酎仕込条件を検討した結果,酵母は,清酒酵母K701より焼酎酵母SH4,泡盛酵母AW101が優れていた。また,乳酸菌の添加時期は2次仕込の1日目に,添加菌数は106cfu/mlが好ましかった。
    4.この条件で仕込んだ焼酎には0.070~0.15ppmのγ-nonalactone,0.16~0.35ppmのγ-dodecalactoneが生成された。また,乳酸菌26-d株のみに0.09~0.12ppmのγ-decalactoneが検出された。
    5.官能評価では,対照に比べ乳酸菌を添加して醸造した焼酎は,γ-ラクトン類の香りが高く味が濃いというコメントが見られた。また,低沸点香気成分の量が多いこと等から,香りの評価がいずれも高く,また,味及び総合評価でも26-d株及び41-d株で醸造した焼酎が対照よりもかなり良い結果であった。
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