日本醸造協会誌
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110 巻, 6 号
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解説
研究
  • 奥田 将生, 上用 みどり, 福田 央
    2015 年110 巻6 号 p. 431-443
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
     実規模スケールに近い総米100kgの仕込み試験を行い清酒製造工程における無機成分の消長についてICP-AES及びICP-MSによる解析を行った。
     元素によって消長パターンは大きく異なり,もろみ期間を通じて変化の少ない元素,もろみ初期に減少しその後増加する元素,もろみ期間を通じて減少する元素,もろみ初期あるいは中期から増加する元素があった。
     洗米・浸漬による除去や吸着,蒸米の麹消化による溶出,酵母の培地からの吸収は元素によって大きく異なり,これらの特性が原料から清酒への無機成分の移行の程度を決定する要因であることが確認できた。
  • ヒト急性前骨髄性白血病細胞に対する抗癌活性
    章 超, 坂尾 こず枝, 矢野 敏史, 久永 絢美, 髙瀬 良和, 岩井 謙一, 侯 德興
    2015 年110 巻6 号 p. 444-452
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
     冬虫夏草子実体をサツマイモ焼酎に浸漬させ,サツマイモ焼酎の冬虫夏草スピリッツ(SCS)を作製した。HP20,Sephadex G-25,HPLC(C-18)等の分画法でSCSを画分し,ヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL-60)の増殖抑制作用及びアポトーシス誘導作用の検討並びにその活性成分F1C-Ⅲの同定を行った。
     1.SCSから得られた各画分のHL-60細胞増殖に対する抑制効果を探索した結果,F1C-Ⅲが最大の癌細胞増殖抑制効果を示し,そのIC50値は1.1 μg/mlであった。
     2.F1C-Ⅲは,HL-60細胞のDNA断片化,caspase-3の活性化及びPARPの開裂不活性を誘導し,癌細胞のアポトーシスを引き起こした。HL-60細胞をAnnexin V-FITC及びPIで二重染色し,フローサイトメトリーで解析した結果,F1C-Ⅲを4.0 μg/mlで24時間処理した細胞では,コントロール細胞に比べ4.9倍アポトーシスが誘導された。
     3.LC/MS-IT-TOF測定によりF1C-Ⅲの主成分はコルジセピンであることを明らかにした。
     以上の結果から,SCS抽出物の主成分コレジセピンは,ヒト急性前骨髄性白血病細胞HL-60にアポトーシスを誘導し,癌細胞増殖を抑制することが明らかとなった。
  • 向井 伸彦, 韓 錦順, 山田 修, 家藤 治幸
    2015 年110 巻6 号 p. 453-458
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
     単式蒸留焼酎のオフフレーバーの1つとしてカビ臭が知られているが,カビ臭の主要な原因物質と考えられるTCAの分析報告はなく,汚染の状況は不明であった。
     我々は,HS-SPMEによる試料の抽出と,GC-MSによる定量を組み合わせた方法により単式蒸留焼酎中TCAの分析を行った。SPMEファイバーの種類,抽出温度,抽出時間といった抽出方法の最適化を図った結果,検出限界は3 ng/l,定量限界は9 ng/lと算出された。
     第31回本格焼酎鑑評会出品酒347点,第32回出品酒325点を対象にTCAの分析を行った。9 ng/l以上含有していたのは,両回とも9点であった。TCA含有量の最大値は123 ng/lであった。TCAを高含有したいくつかの出品酒は,審査員のカビ臭の指摘人数が多かった。一方で,TCAを高含有しているにも関わらず,審査員のカビ臭の指摘人数が少ない出品酒もみられた。TCAのフレーバーは他のフレーバーによりマスクされる可能性のあることが考えられた。
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