①割水用水に含まれるフミン酸が,保存中の清酒着色度の増加を促進する現象について,保存温度,瓶の色,共存するカチオンの影響を調べた。25℃での保存に比べ,5℃や13℃のより低温において,着色促進におけるフミン酸の影響は相対的に大きかった。保存中の着色度の増加は瓶の色によって大小様々であるが,フミン酸による着色度の増加は瓶の色には関係なく同程度であった。鉄など一部のカチオンは,フミン酸の清酒着色促進効果を減少させる傾向がみられたが,ほとんどのカチオンではその影響はなかった。
②仕込み水中に含まれるフミン酸は,原料の溶解あるいは酵母菌の増殖・発酵に何かしらの影響を与え,生成酒において,酸度の低下,アミノ酸度の増加,生成アルコール量の増加,一部高級アルコール類の増加が認められた。
③仕込み水中にフミン酸が含まれていた場合は,割水用水中のフミン酸とは異なり,保存中の清酒着色度を促進する効果は認められなかった。また,割水用水中のフミン酸が保存中の清酒着色度を促進する効果は,仕込み水中のフミン酸の有無とは関係がなかった。
④フミン酸を含む割水用水で割水をした直後では,割水前の原酒のタイプにもよるが,フミン酸は清酒の官能的な品質に特に悪い影響を与えなかった。ただし,蛍光灯下で保存した場合は,フミン酸を含んでいない場合に比べ,香り,味ともに劣化し,フミン酸の存在が清酒の品質に悪い影響を及ぼすことが官能的に確認された。
抄録全体を表示