日本醸造協会誌
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110 巻, 9 号
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解説
研究
  • 古川 幸子, 鈴木 啓太郎, 増村 威宏, 田中 國介, 若井 芳則
    2015 年 110 巻 9 号 p. 653-665
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/05/18
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    (1)2007年産の酒造好適米と良食味米を含む11品種11点について,試験米の食味評価とこれらの試験米を掛米とする製成酒の味覚センサーによる呈味評価の関係を検討した。
    (2)味覚センサーを用いて製成酒の呈味特性を評価した結果,酒造好適米品種を掛米に用いた場合には,製成酒は有機酸による濃厚感を持つ呈味となり,一方で良食味米品種を掛米に用いた場合には,製成酒は爽快感のある呈味となることが示唆された。
    (3)用いる掛米品種により製成酒の呈味に差異が見られる理由について詳細な検討を加えるため,製成酒の遊離アミノ酸含量を測定したところ,良食味米品種で酒造好適米品種よりもAsp,Thr,Ser,Leu,Tyr,Phe,Met,Lys含量が有意に高い値となった。
    (4)遊離糖含量は,良食味米で酒造好適米品種よりもフルクトース含量が有意に高く,グルコース含量が有意に低い値となった。従って,用いる掛米品種によって製成酒の呈味に違いが生じる原因として,アミノ酸含量や遊離糖含量の影響が示唆された。
    (5)味覚センサーを用いた製成酒の呈味評価により,掛米品種による酒質の差異を明示できる可能性が示唆された。これを商品開発に応用することで,新規市場の開拓や需要拡大への貢献に期待できるものと思われた。
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