日本醸造協会誌
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111 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
解説
  • 金桶 光起
    2016 年 111 巻 7 号 p. 421
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/07/30
    ジャーナル フリー
  • 宮澤 利男
    2016 年 111 巻 7 号 p. 422-430
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/07/30
    ジャーナル フリー
     日々の生活で,我々は,香水,芳香剤,芳ばしい調理香等の好ましい香りから,腐敗臭,汚物臭等の不快な臭いに至るまで非常に幅広い多種多様な香りに接している。ところが,依然として,香りに関しては,未解明なところが多く,まさに,これから研究の発展が期待される分野の一つである。今回は,閾値に達しないような香り成分も相互作用することにより隠し香的に認識されるという,先端的な研究に関して,やさしく解説していただいた。清酒も調味料も香りと品質は密接に関わっていることから読者の皆様には大いに参考になると思われる。
  • 畑中 唯史
    2016 年 111 巻 7 号 p. 431-436
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/07/30
    ジャーナル フリー
     睡眠障害は脳血管疾患,鬱病,全死亡に対するリスクの1つとされ,臨床的重要性が非常に高い。そればかりでなく,寝不足による生産性の低下が大きな経済損失をももたらすとの報告もある。海外と比べ,日本人は平均睡眠時間が顕著に短いばかりでなく,睡眠障害を抱える人の多数の存在が明らかになっているが,現在のところ,その対処が遅れている。筆者らは,日本人が古くから主食とし,安全・安心に摂取できる米に着目して,米由来タンパク消化物の機能性解明に取り組んでいる。その一環として,睡眠障害改善と関連があるセロトニン-N-アセチルトランスフェレース活性に着目した解析を行った。この結果,米由来タンパク消化物がこれを活性化することを明らかにし,予想される機構を提示した上,睡眠障害改善につながる可能性を示した。
  • 殿内 暁夫, 森山 裕理子, 青山 嘉宏, 土岐 春歌
    2016 年 111 巻 7 号 p. 437-444
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/07/30
    ジャーナル フリー
     著者らは,白神山地由来の微生物資源の産業利用を通じた地域貢献を目的として,酵母Saccharomyces cerevisiaeの分離を進めている。十分に検討された分離・同定スキームにより,これまでに多数の菌株を得ている。加えて,本稿には自然環境から酵母を分離する際に有用な示唆に富んだ内容も含んでいる。また,産学官の研究会を組織し,広報・普及活動を行っており,一部については商品開発もなされている。解決すべき課題もあるというが今後の展開が期待される。
  • 飯牟礼 隆
    2016 年 111 巻 7 号 p. 445-452
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/07/30
    ジャーナル フリー
     ビールの見た目の美しさに大切な「泡」の形成には,麦由来のタンパク質,ホップ由来の苦味成分,ポリフェノール,多糖類をはじめ,様々な要素が寄与している。中でも大麦のタンパク質について,泡品質に寄与するタンパク質や遺伝子を同定し,基盤技術を開発できれば,泡品質を良くする大麦の育種が可能となる。本稿の内容は,その基盤技術開発についての著者らの取り組みと研究成果を述べたものである。
     本稿の内容は,2015年にポルトガル開催された欧州最大のビール醸造学会『European Brewery Convention』にて著者らによって発表されBest Presentation Awardを受賞した。まさに「世界に誇る技術」として認められた内容である。
  • 編集部
    2016 年 111 巻 7 号 p. 453-459
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/07/30
    ジャーナル フリー
     平成27年度における味噌の研究業績としては,関連する微生物の新規酵素,遺伝子機能,発酵微生物のゲノムを活用した研究などがあげられる。原料大豆,麦等の研究は基盤研究として実施されており,味噌原料大豆の育種が着実に行われ,味噌好適品種として期待されている。本年も機能性,おいしさに関する研究報告が活発に行われているが,なかでも,機能性に関しては,メタボローム解析等を活用した先端研究が行われるとともに,培養細胞を利用した生理機能性の研究が成果をあげつつある。
     味噌製品については,加工技術のみならず品質や機能性においても,科学的根拠に基づいた評価や研究情報の発信が強く求められており,基礎研究を確実に実施することを指摘する報告に注目される。特に海外展開に向けての適正な情報発信が期待される。
     おいしさや食育からの味噌利用に関する研究は,本年も詳細な実践研究が行われ,日本型食生活への回帰,若年層の健康を考えた発酵食品の重要性が引き続いて認識されている。機能性研究においてはヒト介入試験や疫学研究が求められている他,基礎的研究において次第に研究成果があげられており,本年度は多数の研究成果報告が発表されている。味噌の役割は,健康と食品機能のみならず,調理の観点からも重要度が高く,近年注目されている海外展開に向けて製造技術,微生物研究の更なる進展が期待される。
  • 大森 大陸
    2016 年 111 巻 7 号 p. 476-478
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/07/30
    ジャーナル フリー
研究
  • 磯谷 敦子, 神田 涼子, 飯塚 幸子, 藤井 力
    2016 年 111 巻 7 号 p. 483-492
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/07/30
    ジャーナル フリー
    全国新酒鑑評会出品酒の「香辛料様・4VG」の特性に寄与する成分を検討した。揮発成分の網羅解析の結果,「香辛料様・4VG」指摘酒は指摘のない対照に比べてguaiacol,4VG,ラクトン類,エチルエステル類の濃度が高い傾向がみられた。このうちguaiacolおよび4VGはGC-olfactometryにおいて「薬品・煙様」,「カレー・香辛料様」のにおいとして検出され,「香辛料様・4VG」の特性に関与している可能性が考えられた。SBSE-GC-MSによりフェノール化合物の定量分析を行ったところ,guaiacol濃度は「香辛料様・4VG」の指摘数が多いものほど高くなる傾向がみられ,検知閾値(22 μg/L)を超えるものもあった。4VGについては加熱脱着時のフェルラ酸の分解により分析値はやや高い値となるが,それを差し引いても指摘酒では7割以上のものが検知閾値(52 μg/L)以上の濃度であると推定された。4EGはほとんどの試料で不検出であったが,指摘酒のうち1点に比較的高濃度の4EGが検出された。これらの結果から,鑑評会出品酒の「香辛料様・4VG」の特性には4VGだけでなくguaiacolや4EGも関与していると考えられた。
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