平成27年度における味噌の研究業績としては,関連する微生物の新規酵素,遺伝子機能,発酵微生物のゲノムを活用した研究などがあげられる。原料大豆,麦等の研究は基盤研究として実施されており,味噌原料大豆の育種が着実に行われ,味噌好適品種として期待されている。本年も機能性,おいしさに関する研究報告が活発に行われているが,なかでも,機能性に関しては,メタボローム解析等を活用した先端研究が行われるとともに,培養細胞を利用した生理機能性の研究が成果をあげつつある。
味噌製品については,加工技術のみならず品質や機能性においても,科学的根拠に基づいた評価や研究情報の発信が強く求められており,基礎研究を確実に実施することを指摘する報告に注目される。特に海外展開に向けての適正な情報発信が期待される。
おいしさや食育からの味噌利用に関する研究は,本年も詳細な実践研究が行われ,日本型食生活への回帰,若年層の健康を考えた発酵食品の重要性が引き続いて認識されている。機能性研究においてはヒト介入試験や疫学研究が求められている他,基礎的研究において次第に研究成果があげられており,本年度は多数の研究成果報告が発表されている。味噌の役割は,健康と食品機能のみならず,調理の観点からも重要度が高く,近年注目されている海外展開に向けて製造技術,微生物研究の更なる進展が期待される。
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