日本醸造協会誌
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112 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 井戸田 裕二
    2017 年 112 巻 5 号 p. 317
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
  • 利守 忠義
    2017 年 112 巻 5 号 p. 318-322
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
    酒米「雄町」は,江戸時代に誕生した品種で,赤磐雄町として,業界内では有名な米であったが,栽培の難しさ,酒米「山田錦」への切り替えにより,一時は6ヘクタールにまで落ち込んだとのことである。これを復興させたのは,岡山県の名醸家利守忠義氏の情熱であり,その苦労と喜びの軌跡がここに書かれている。「雄町」を使用した清酒イベント「雄町サミット」も今年で第8回を迎えており,「雄町」を愛する人にとっては大きな喜びである。
  • 三ツ井 敏明, 金古 堅太郎, 鈴木 浩武, 佐藤 友紀, 椎名 将平
    2017 年 112 巻 5 号 p. 323-329
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
    イネ登熟期の異常高温による米の白濁化,品質低下が大きな問題になっている。一方,酒米には粒の中心に白濁化した部分があり,この心白の存在が酒米の特性に関与しており,そのため一定した高い心白発現が望まれている。高温登熟により,酒米の腹側心白の領域拡大と背白発生が見られ,加えて消化性の低下という酒造適性の変化が見られる。本稿では,分子生理学的視点から米粒の白濁化メカニズムの考察を通し,高温登熟による高温障害を軽減する戦略を探っていただいた。
  • 明石 貴裕
    2017 年 112 巻 5 号 p. 330-335
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
    消費者が店頭で清酒を選ぶ場合,銘柄とともにラベルに記載された成分や特徴をもとに判断している。しかし,酸度やアミノ酸度などの成分の表示は増えているが,特徴については,甘辛,濃淡の他は,具体的イメージを表示したものはまだ少ない。
    灘酒研究会では,新たな酒質表現の構築に取り組み,「灘の生一本」で具体的に表示することを実践している。これは,今後の清酒業界の酒質の表示の1つのモデルとなるべきものと思われる。
  • 大森 大陸
    2017 年 112 巻 5 号 p. 336-338
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
  • 福田 央, 韓 錦順, 山田 修
    2017 年 112 巻 5 号 p. 343-349
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
    第35回本格焼酎鑑評会出品酒を使用麹により分類し,使用麹による焼酎の84種類の揮発性成分を比較検討した。使用麹による有意差の認められる揮発性成分は認められたが,使用原料の影響も考えられる。そこで,出品された焼酎の内で甘藷焼酎は他の焼酎に比べて試料に偏りが小さいことから,甘藷焼酎の揮発性成分について使用麹の影響を検討した。甘藷焼酎では白麹製品と黒麹製品で13の揮発性成分に有意差が認められた。ステップワイズ法により判別分析を試みたところ,甘藷焼酎で白麹製品と黒麹製品は6成分(1-ヘキサノール,1-オクテン-3-オール,カプロン酸イソブチル,ミリスチン酸エチル,α-ビサボロール及びチオ酢酸S-メチル)により分類され,判別分析の精度は83.0%であった。
  • 佐無田 隆, 谷山 健弘, 廣 あおい
    2017 年 112 巻 5 号 p. 350-356
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
    1.カメに泡盛を長年貯蔵すると平衡蒸気成分中のEtOH濃度7)や蒸発速度8)などの物理的性状が変化すると報告されているが,このような物理的性状の変化はカメ貯蔵泡盛に含まれていると報告2,4)されているMg+2,Ca+2,Na及びK等の溶媒和の影響が大きいと推察されたので,MgCl2,CaCl2,NaCl,KClまたはLiClをそれぞれ43.00%v/vEtOH水溶液,EtOHまたは水に2.5~10mM/L溶解し,動粘度を測定した。
    2.MgCl2またはCaCl2を43.00%v/vEtOHまたはEtOHに溶解した場合は,水に溶解した場合に比べ動粘度は大きく増加した。塩素イオン濃度は等しいから,このような動粘度の増加は,金属イオンとEtOHから溶媒和が生成しているためと推察された。
    3.43.00%v/vEtOH水溶液にMgCl2,CaCl2またはLiClを溶解すると,金属塩の濃度に比例して動粘度は高くなり,NaClまたはKClを溶解すると動粘度は減少した。測定した範囲においてEtOHにNaCl,KClは溶解しなかった。
    4.それぞれ単一の金属塩を含有する二つの43.00%v/vEtOH水溶液を等量混合すると,二つの液の動粘度の平均値に近い値となった。
  • 石原 智, 大澤 実
    2017 年 112 巻 5 号 p. 357-364
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
    キャベツ活用の新たな可能性を目的として,キャベツ酢の製造と特性評価を試みた。キャベツ酢の製造は,キャベツ搾汁にエタノールを添加し,静置発酵により行った。酢酸発酵は順調に推移し,発酵28日で終了とした。また,酢酸の収率は74.2%であった。キャベツ搾汁からは,香気成分としてDMDS,DMTS,trans-2-Hexenal,1-hexanol,cis-3-hexen-1-ol,Methyl thiocyanate,Allyl isothiocyanateが認められたが,酢酸発酵を行ったキャベツ酢から検出されたDMDS,DMTS,cis-3-hexen-1-olは極僅かであり,酢酸発酵中に大部分が揮発してしまったためと考えられる。キャベツ酢の酸度は4.45%,糖組成はFructoseとGlucose,遊離アミノ酸類は18種類のアミノ酸,MMSCが含まれており,総アミノ酸量は,米黒酢に次いで高い値であった。市販の食酢についても同様の項目について分析し,主成分分析を行った結果,PC1とPC2の累積寄与率は74.5%であった。主成分に対する因子負荷量をみると,PC1はGlucose,旨味系アミノ酸,苦味系アミノ酸と高い負の相関が,PC2はFructoseと高い正の相関が認められ,キャベツ酢は,他の食酢とは異なり,今までにない新たな食酢であった。
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