コロナ禍で酒類の国内出荷が落ち込んでいるが,輸出は比較的好調であり,日本酒に関しても金額ベースで12年連続の前年比プラスとなっている。世界各地で日本酒を売り込むための試みが行われているが,ワインの本場であるフランスにおいては,Kura Masterというフランス人によるフランス人のための日本酒コンクールが開催されている。当初からクラマスターにかかわってきた筆者に,フランスにおける日本酒の状況とクラマスターの概要についてご紹介いただいた。
清酒酵母には細胞壁グルカン,S-アデノシルメチオニン,葉酸などの機能性成分が豊富に含まれており,食品として摂取したときに様々な機能を持つことが期待されている。本稿の筆者が所属する会社は,新たに清酒酵母に睡眠の改善効果があることを見出だし,それを事業化することに成功した。清酒酵母製品の摂取により,成長ホルモン分泌量が増え,睡眠の質が向上して,起床時の疲労回復効果があるとのことで大変興味深い。
日本食が世界で認知されるにしたがい,日本食に欠かせない発酵調味料も世界中に広まりつつある。本稿の筆者が所属するヤマモリ株式会社は,1996年からタイでの醤油の現地生産を開始し,タイでの醤油市場を拡大してきた。その後,タイカレーを中心とするタイの食品の現地生産と日本への輸入などもおこなっている。タイ以外のアセアン諸国への事業の展開と課題を含めた取り組みについて解説していただいた。
令和3年(令和3年1月~12月)に国内で発表された酒類に関する研究報告書を収録した。抄録したものは研究報告のみとし,総説,解説記事及び特許については筆者と題目を掲げ,学会およびシンポジウムの口演は除外した。
若年女性11名の被験者により,アルコール飲料7種,精油5種の香りの嗜好と主観的リラックス感について調べた結果,清酒,梅酒,ラベンダー,カユプテについて,香りの好き嫌いによって,得られる主観的リラックス感が影響されることが分かった。また,清酒,梅酒の香りが,交感神経活動の指標であるLF/HF値を低下させ,同時に副交感神経活動の指標であるHF(nu)を上昇させて与えるリラックス感は,ラベンダー,カユプテと同程度のものと考えられた。香りの嗜好の程度とLF/HF値あるいはHF(nu)の間には,清酒において相関関係となる方向性が認められ,好ましいと感じる香りほどリラックス感が得られる傾向が認められた。
若年女性33名の被験者により,普通清酒,純米吟醸酒,梅酒について,香りの嗜好とリラックス感について調べた結果,純米吟醸酒と梅酒では普通清酒に比べ,香りを好ましく,主観的にリラックス感を感じ,また,心拍変動スペクトルの解析値ではLF/HF値の低下とHF(nu)の上昇が見られ,香りを嗅ぐことでリラックスを感じていることが客観的にも認められた。
日頃,清酒を飲用していない若年女性において,清酒の香りの嗜好は得られるリラックス感に影響を及ぼすことが分かり,清酒の香りが嗜好品としての大切な役割を果たしていることが確認された。
酒造好適米を浸漬した際に発生する裂傷(水浸裂傷)について,定量的な評価を目的とした新たなモデルを提案し,パラメータを用いることで白米水分,浸漬水温等の条件が変化した際の水浸裂傷発生パターンの違い,心白サイズや白米形状特徴との関連性について考察をおこなった。その結果,白米水分の上昇は水浸裂傷の発生速度,総発生量をともに増加させる効果があり,浸漬水温は水浸裂傷の発生速度のみを増加させ,総発生量には影響を与えないことが明らかとなった。また,心白サイズは横割れ,縦割れの総発生量,横割れの発生速度と正の相関にあり,とくに横割れの総発生量と品種横断的な相関関係が表れた。さらに,白米の長さ,幅,厚さと水浸裂傷の関係を確認すると,厚さと横割れの総発生量が負の相関,幅と縦割れの総発生量が正の相関を示した。これらの結果から,水浸裂傷の増加速度は水分拡散速度,総発生量は白米の強度や形状の違いによる影響を強く受けることが示唆された。