日本とEUとの経済連携協定が2019年2月に発効し,酒類について相互間の関税の撤廃や輸入規制の緩和がなされることとなった。EU産のワインについて,従来は日本で未認可の添加物の使用により輸入ができない場合があったが,それらについて日本でも使用できるようにする手続が進められている。これによって新たにワインに使用可能となる添加物について,詳しく解説していただいた。
中国内モンゴル自治区のウランホト市は,大興安嶺南の草原にあり,東南は吉林省,東北は黒竜江省に接し,北西部はモンゴル国境となる。冬は厳寒となるこの地で,米や大豆,麦が栽培されており,日本の技術を導入した日本式の味噌や醤油の製造がおこなわれている。現地で醤油製造の立ち上げに関与した筆者に,その歴史と現状について解説していただいた。
1)2015年および2016年に栽培された酒造原料米品種「京の輝き」12点および「祝」6点において,米貯蔵タンパク質含有量を評価した。「京の輝き」「祝」ともに,晩植にて栽培した原料米は,早植に比べて貯蔵タンパク質含有量が高くなった。また,晩植の貯蔵タンパク質組成から,グルテリンの割合が低くなることがわかった。以上の結果から,京都産酒造原料米の2品種において,醸造適性を高めるためには,移植時期を早めることが望ましいことが示唆された。
2)二次元電気泳動による解析により,グルテリン分子種の同定を行った。さらに,移植時期を変えた原料米におけるグルテリン分子種の含有量は,早植で栽培するとグルテリン分子種の含有量が低くなり,その中でもGluBの割合が低くなることがわかった。また,「祝」は「京の輝き」に比べてGluBの割合が高かった。
水質が清酒醸造に及ぼす影響を明らかにするため,11種類の国内清酒製造場の仕込水と超硬水と純水の合計13種類の水と精米歩合40%,60%,70%の原料米を用いて清酒小仕込試験を行い,水質と清酒成分等との関係を解析した。仕込水と原料米の無機元素含量から,もろみに投入される仕込水の影響が大きい元素の特定を行った。清酒小仕込試験の結果,発酵経過や製成酒成分は超硬水とそれ以外では顕著に異なったが,11種類の清酒仕込水間においてもバラツキがみられた。製成酒の味覚センサー解析では酸味,苦味雑味・旨味コク,渋味刺激・渋味センサー応答において,仕込水のMg,Ca,SO42-濃度と相関がみられた。仕込水成分と清酒成分等の関係をみると,仕込水中のMg,Ca,Cl-,SO42-,硬度等と日本酒度やアミノ酸度もろみ初期の醗酵速度等との間に高い相関がみられた。各仕込水中での米の消化性を調べたところ仕込水のCaやSO42-濃度が高いと消化液のα-アミラーゼ活性が高く,米の消化性やP濃度と正の相関がみられた。すなわち,α-アミラーゼの無効吸着が仕込水の無機成分含有量によって左右され,その結果米の溶解性に影響を及ぼすことが示唆された。一方,消化液のアミノ酸濃度は,仕込水のCaやSO42-濃度が高いと低くなる傾向がみられた。各仕込水中での米の消化特性は,アミノ酸度,香気成分,発酵速度など清酒醸造特性にも高い相関を示した。これら無機成分の寄与を検証するため,無機塩添加水による蒸米消化性試験を行ったところ,特にSO42-がα-アミラーゼの蒸米への無効吸着の抑制,蒸米消化性の向上及びアミノ酸の低減に影響することが示唆された。以上から,仕込水中のSO42-のような無機成分が,α-アミラーゼの蒸米への無効吸着を抑制し,米の溶解性を向上させる一方で,アミノ酸の生成を抑制する可能性が示唆された。これらの変化が清酒の発酵速度や清酒成分を左右し,最終的に官能特性にも影響を及ぼす可能性が示唆された。