芋焼酎の原材料は,サツマイモ,米こうじであり,用いる微生物は麴菌と酵母である。近年,様々な麴菌(白麴菌,黒麴菌および黄麴菌)を用いて芋焼酎が製造されるようになり,バラエティ豊かになってきた。ところで,用いる麴菌の違いによって芋焼酎の酒質の違いがあることは言われていたが,科学的な裏付けは少なかった。そこで「麴菌」に着目し,麴菌以外は同一条件で芋焼酎を製造することで,麴菌の違いが芋焼酎の酒質に及ぼす影響について明らかにしたので紹介したい。芋焼酎のさらなる多様化へつがることを期待する。
醤油は,大豆と小麦を原料として麴をつくり,それに食塩水を加えて発酵させるのが一般的である。しかし,各地の地理的・歴史的な背景とそこに住む人々の嗜好によって,それぞれの土地で独自の発展を遂げた醤油が生産され消費されている。四国では,小豆島がある香川県が全国的な醤油の産地として名高いが,他の各県でもそれぞれ特徴のある醤油がつくられている。
2013年に,和食が日本人の伝統的な食文化としてユネスコ無形文化遺産に登録された。和食の成立は「日本列島の変化に富み豊かな自然が多様で新鮮な食材を育み,これらを用いた和食文化が発展した」という文脈で語られる事が多い。しかし豊かな自然は日本だけのものではなく,この説明では和食の特徴を十分に伝えているとは言い難い。一方で日本列島は地殻変動が激しい「変動帯」であり,「美食地質学」はこのことが和食文化を育んだ重要な背景だと説く。
①広島県内の酒造会社31社で使用している清酒の割水用水は,井戸水を原水とし,ろ過程度の軽い処理をして,仕込み水と同じものを用いているという傾向があり,その硬度の平均値は52(mg/L),11社は硬度60以上の中程度の硬水であり,全体としては水道水のような硬度の低い軟水ではなかった。
②通常の割水用水で割水した清酒に比べ,逆浸透膜ろ過した水(RO水)で割水した清酒は,官能評価において,「味品質」は同じ,「味の濃淡」は淡く,「あと味軽快さ」はすっきりと,「旨味」は弱く,「熟度」については未熟に感じるという傾向がみられた。この傾向は,本醸造酒と純米酒において同様に,辛口タイプより甘口タイプにおいて強く,上槽後冷蔵保存した割水量の少ない純米吟醸酒においては弱くみられた。
③割水に用いた割水用水とRO水(あるいは混合水)の硬度の差が16~32のとき,それぞれを用いて割水を行った清酒の官能評価に違いが見られた。このとき,割水後の清酒間におけるカルシウムなどの成分の濃度差は0.1~1.0(mg/L)程度であった。
④割水用水自体が,清酒の官能評価において,「味の濃淡」は濃く,「あと味軽快さ」はくどく,「旨味」は強く,「熟度」については過熟に感じさせる影響を与えており,全国の酒造場において個々の特徴を形成する要因のひとつとなっていることが推察された。
⑤割水用水を浄化する場合は,割水後清酒の品質を見極めた上で処理条件を決めることが大切と考えられた。また,割水用水の水質変更は清酒品質の改良の手段にもなることが示唆された。
ワイン用の酵母発酵助成剤であるStimula Sauvignon BlancとOptimum Whiteを水麹及び添時に添加した清酒醸造試験を行うことにより,酵母発酵助成剤の添加時期による原料利用率の向上と製成酒の香気増強効果の差異を調べた。その結果,ワイン酵母では,Stimula Sauvignon Blancの添加時期が前報4)の留時よりも水麹または添時でその添加効果が高く,製成酒のアルコール分が高く,グルコース含量が低く,清酒酵母を使用した場合と同程度になった。また,無添加に比べて酢酸イソアミル含量が顕著に高かったが,水麹と添時ではほとんど差がなかった。清酒酵母では,酵母発酵助成剤の添加効果は前報4)と同様にワイン酵母より小さく5),Stimula Sauvignon Blancの添加時期が水麹,添時及び前報4)の留時のいずれもその添加効果にほとんど差異は見られなかった。以上のことから,Stimula Sauvignon Blancは,ワイン酵母で仕込みを行う際に早い段階で添加すると効果的に原料利用率が向上し,エステル含量が増加することがわかった。清酒酵母では添加時期が早い方が発酵は進むものの,製成酒の酒質への影響はあまり大きくはないと考えられた。