協会7号および9号酵母から分離した尿素生産能の低い突然変異株を用いて, 小仕込試験および総米100kgの中間規模の清酒製造試験を行い, 次の結果を得た.
(1) 協会7号から分離したK-7U系の変異株を用いた清酒製造では, 対照の協会7号と比べ, 酒母, 膠とも発酵経過に大差はなく旺盛な発酵力が示された。一方, 尿素については, 尿素生産能の低いK-7U系の酵母を用いた場合, 生成濁の尿素濃度を協会7号の約3分の1 (10ppm程度) に抑えることができた。
(2) K-7U系酵母による生成酒の一般成分については, 協会7号のものに比べ総酸度が高かったが, その他の成分についてはほぼ同様であり, 酒質も良好であった。なお総数の多いことは, K-7U系酵母を泡なし株にして用いることにより緩和された。
(3) 協会9号から分離した尿素低生産性突然変異株 (K-9U系) についても, 小仕込および中間規模の清酒製造試験を行ったところ, K-7U系と同様の結果が得られた。
(4) 尿素生産能の低いK-7UおよびK-9U系の株は, 尿素含量の少ない清酒を製造するための実用株としての効果が高いと判断された。
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