醤油麹の高温自己消化を低食塩濃度下で行わせ, 醤油のうま味の主成分であるグルタミン酸と, 発酵基質である還元糖の生成について検討した。
1) 食塩無添加の醤油麹の自己消化では全窒素がはじめの24時間で急速に増大し, 2日ないし3日以内に溶出量が最大に達した。
2) 0.5~2%程度の低濃度食塩が存在しても全窒素の溶出速度は低下した。
3) グルタミン酸の溶出量は自己消化濃度と食塩濃度の双方の影響を受けた。
4) グルタミン酸溶出には食塩無添加で45~55℃消化が最適であった。この条件下でグルタミン酸/全窒素比は0.867が得られ, 期待される最大値 (0.885) に近かった。
5) 消化液の食塩濃度が10%, 17%の場合はpHがアミラーゼの最適pH付近に維持されたので, 還元糖は多く溶出した。一方, 食塩0%, 5%の場合はpHがアミラーゼの最適pHより高く, あるいは低かったので還元糖は少ない溶出だった。
おわりに, 本研究を行うにあたり積極的にご支援を賜わった武田食糧 (株) 武田辰男会長, 武田与信社長および故市川芳男専務に深謝致します。また, 本研究の報告を許可された同社役員各位に, また討論に参加して下さった志村嘉久氏, 小野賢一氏, 二宮英夫氏, 鮎沢武四氏に謝辞を呈します。
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