醤油麹の自己消化物を組成が醤油に類似した発酵生産物製造用の出発物質として使うと想定した時, その自己消化物中の還元糖濃度は8g/dl以上が必要であると考えられた。この還元糖濃度をもった自己消化物を得る目的で, 自己消化段階でカルシウム塩を添加したり, 米麹, 小麦麹あるいはウイスキー麦芽のようなアミラーゼを含む食品材料を醤油麹と混合する試験を行った。得られた自己消化物を濾過して分析に供した。また, このような試みに関する経済性についても検討した。
1.カルシウム塩を自己消化段階で添加すると, 濾液中の還元糖濃度は僅かに高くなったが, 8g/dlを越えな.かった。
2.醤油麹と米麹を重量で9: 1にした混合物, および醤油麹と小麦麹を8: 2にした混合物から得られた濾液は, 還元糖濃度がそれぞれ8.38g/dl, 8.49g/dlであった。醤油麹とウイスキー麦芽の9: 1混合物から得た濾液は還元糖濃度が8.91g/dlであった。
3.醤油麹と小麦麹の混合物から得られる自己消化物は検討したさまざまな物質の中ではみかけの価格が最も安価な出発物質として計算された。しかし, 小麦麹と醤油麹は別々に造らなければならないので, 製麹用新設備へ向けた投資が必要となる。それ故, この麹混合物を使用する経済性はこの投資によって必然的に低下する。
4.これらの結果から, 醤油麹の自己消化物から組成が醤油に類似した発酵生産物を製造しようとする考え方は, 製造工程全体の中で大きな支出軽減が達成されれば実現できると結論された。
終りに, 本研究を行うにあたり積極的にご支援を賜わった武田食糧 (株) 武田辰男会長, 武田与信社長および武田与光副社長に深謝致します。また, 本研究の発表を許可された同社役員各位に, また討論に参加して下さった志村嘉久氏, 小野賢一氏, 二宮英夫氏, 伊藤成起氏に謝辞を呈します。
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