細孔径0.23μmから3.0μmまでの6種類のガラス製精密濾過膜を用いて, ビール発酵液のクロスフロー濾過実験を行った。供給液流速と濾過圧力が濾過性能に及ぼす影響について検討し, 以下の結果を得た。
1. 供給液流速を0.5ms-1から2.5ms
-1に高めても, 目詰り抵抗の大きさは0.5ms
-1時とほとんど変わりなかった。しかし, ケーク層抵抗は細孔径の大きさにより異なるが, 流速を高めることで0.5ms
-1時の1/2~1/13に減少したため, 定常濾過流束は2~15倍に増加した。この場合においても, 全濾過抵抗に占めるケーク層抵抗の割合は60~99%となり, 濾過流束はケーク層抵抗の影響を強く受けた。
2. 濾過圧力を50kPaから100kPaに高めると, 目詰り抵抗, ケーク層抵抗は2倍に増加し, 定常濾過流束は50kPa時より低下した。
3. 供給液流速を0.5ms
-1から2.5ms
-1に高めても, 濾過圧力を50kPaから100kPaに高めても, 0.72μm濾過膜がビール発酵液のクロスフロー濾過に適していた。
4. 今回の濾過条件の中では, 供給液流速2.5ms
-1, 濾過圧力50kPaの組み合わせにより, ケーク層抵抗を最小にすることができた。しかし, この濾過条件下においても現時点でのクロスフロー濾過への代替には不十分と考えられた。
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