従来と異なる酒質を持つ清酒を製造する目的で, 清酒酵母の多剤耐性株より各種香味成分生産性の改変された株の分離を試みた。
分離したPDR102株はリンゴ酸のコハク酸に対する生産量比が高い株であり, PDR104株はリンゴ酸を中心とする有機酸低生産性およびエステル低生産性を示し, PDR114株はリンゴ酸高生産性を示すとともに, グリセロール高生産性も示した。
分離した各香味生産性改変株に対するセルレニン, シクロヘキシミド, オリゴマイシン, クロトリマゾールの最小育成阻害濃度はそれぞれ異なっていたが, PDR114株がクロトリマゾール感受性を示した以外は, 各薬剤に対して耐性を示した。
分離株のグルコースを炭素源としたときのTTC還元性はK901と同様であり, この性質を清酒醸造時に野性酵母との判別に用いることができ, これと同時にセルレニンもしくはシクロヘキシミドに対する耐性を確認することで酵母の純度判定も容易にできた。
これまでに報告された多くのリンゴ酸高生産株の共通性質であったコハク酸ジメチル感受性や, グリセロール高生産性を示すと言われているアリルアルコール耐性変異をいずれの分離株も示さず, 今回分離した各香味生産性変異株の変異は従来株のものと遺伝的に異なることが示唆された。
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