1.清酒醪中における酵母のアミノ酸透過酵素が, 生育や発酵能等におよぼす影響を検討するため, 11の透過酵素遺伝子 (
CAN1, HIP1, LVP1, MUP1, BAP2, GNP1, TAT1, SCM2, DIP5, PUT4, GAP1) について各破壊株を造成し, 清酒小仕込み試験を行った。その結果, 発酵経過や一般成分において多くの破壊株が親株と同様な傾向を示し, 大きな影響は認められなかった。しかし
LYP1破壊株を用いた清酒小仕込み試験では, エタノール生成が悪く, また糖濃度や酸度, アミノ酸度も増加を示し, 清酒醸造における酵母のリジン透過酵素遺伝子の重要性が示唆された。
2.酵母の各アミノ酸透過酵素遺伝子破壊により, 清酒中のアミノ酸組成にどのような変化を示すかを親株と
GAP1破壊株と比較した。その結果, アルギニン, ヒスチジン, リジン, メチオニンはそれぞれの透過酵素遺伝子破壊により約2-4倍量増加した。従ってこれらのアミノ酸は, 清酒醪中においてそれぞれ
CAN1, HIP1, LYP1, MUP1が直接的に関与しており, GAPによる取り込みは非常に少ないと考えられた。
3.各アミノ酸透過酵素破壊により, 清酒の香味にどのような変化を与えるかを検討するため, 官能試験を行った。その結果, 多くの破壊株において総合的評価に影響は認められなかったが
LYP1破壊株を用いた製成酒は負の影響を与えた。これは
LYP1破壊株の発酵能低下に起因した成分変化によるものと考えられた。また香りに対する印象ではいくつかの製成酒に変化が認められ, 特に
DIP5や
GNP1破壊株を用いた製成酒では, 香りの爽快さを示す結果が得られた。
なお, 本報告の内容については, 1998年度日本農芸化学大会 (名古屋) において発表した。
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