日本醸造協会誌
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94 巻, 9 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 加藤 榮一
    1999 年 94 巻 9 号 p. 687
    発行日: 1999/09/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
  • 増田 進, 工藤 由起子, 熊谷 進
    1999 年 94 巻 9 号 p. 688-695
    発行日: 1999/09/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    腸管出血性大腸菌O157に対する食中毒事故は今だに後を断たないのが現状である。
    醤油は調味料として使われ方の他に, 食品の保存効果を期待した使われ方をする。筆者らはあらゆる角度からO157: H7に対する影響を調べ醤油の安全性を再確認をした。その内容について解説いただいた。
  • 乳酸菌スターターカルチャーを利用した味噌醸造
    加藤 丈雄
    1999 年 94 巻 9 号 p. 696-702
    発行日: 1999/09/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    近年, 消費者の安全志向, PL法の施行などから, 食品にはHACCPなど厳重な衛生管理が求められる。B.subtilisをはじめとする有害微生物の除去は, 味噌・醤油業界にとって長年の課題であるとともに, 早急に解決を迫られている。特に, 豆味噌の製麹では, B.subtilisの汚染, 増殖が著しい。乳酸菌の抗菌力を利用して, 豆味噌醸造中の有害微生物の生育を阻害し, 品質の安定化と向上を目的とした, 実用的な新規製法を開発された筆者に, ひろくバイオプリザベーションという新技術について解説していただいた。
  • 能登杜氏中倉恒政を追って
    西村 卓, 杉本 聡子, 高塚 苑美
    1999 年 94 巻 9 号 p. 703-711
    発行日: 1999/09/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    筆者たちは, この1年ほどの間, 滋賀県高島町にある造り酒屋福井弥平商店でm数年来杜氏として酒造りに従事している中倉恒政氏に密着し, 彼の半生, 酒造りの技を聞き取ってきた。またそのなかで, 酒造りにおける独特な労働編成に触れることにもなった。
    聞き取りとは, 話し手と人生をもう一度ゆっくり繰り返すことである。いっしょに歩き, いっしょに立ち止まる。うれしさも悲しさも共有する。そしてそれを文章として再現する。その再現された文章が逆に話し手の心をとらえる。中倉氏はこの文章を受け取った時に次のように語った。「まああ, よくここまで裸にしてくれました。蔵人のみんなが寝静まってから, 1頁1頁ゆっくりと読ませてもらったが, 涙が止まりませんでした」。聞き取りの醍醐味である。
    本稿では, 能登杜氏中倉恒政氏の生活史が, 彼の生の言葉を通して語られている。また能登杜氏や蔵人たちの現状についても触れられている。伝統的な技や組織に新たな光があてられ再評価されつつあるなかで, 酒造りにたずさわる人とその技を追っていただいた。
  • 工藤 哲三, 甲斐 邦熈, 高橋 勝南, 森山 和之, 柏田 雅徳
    1999 年 94 巻 9 号 p. 721-725
    発行日: 1999/09/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    有機性廃棄物の処理法であるコンポスト化法を, 焼酎粕処理に応用し, 微生物による有機物の迅速な分解と, その増殖に伴う発酵熱を利用して水分を蒸発させる焼酎粕の減量化技術について検討した。
    1, 牛糞堆肥を調整材として使用した大麦製焼酎粕においては発酵温度が73℃まで上昇し7日間の発酵で水分が48.6%から37.5%へ, BODが23000mg/kgから5680mg/kgに減少した。
    2.甘藷製焼酎粕については, 調整材にコーヒー粕等の易分解性有機物を混合することにより, 大麦製焼酎粕と同様の発酵温度を確保でき, 調整材を繰り返し使用した堆積発酵が可能になった。
    3.本処理法においては水分蒸発量100kgあたり有機物が32.1kg資化された。
    4.焼酎粕処理量を拡大した実用規模の試験において, 10トン/日の焼酎粕を処理する場合, 容積600m3の発酵槽が必要であることを確認した。
  • 江村 隆幸, 岡崎 直人, 石川 雄章
    1999 年 94 巻 9 号 p. 726-732
    発行日: 1999/09/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    243年前 (宝暦6年, 1756年) に仕込んだ古酒が新潟県関川村, 渡邉家で発見され, 官能評価及び成分分析を行った結果, 以下のことが明らかになった。
    1.官能評価の結果, 外観等の性状は濃暗褐色で濁りはなく粘度が高く, 強い酸味と甘味及び若干の苦みを有し, 香りは強い老香様を呈していた。
    2.現在の清酒に比較して, 酸度およびグルコース濃度は高く, pHは低く, また, 酸度の割にアミノ酸度は低かった。
    3.有機酸は, コハク酸及びクエン酸を除き測定した全ての成分において多かった。また, リン含量が多かったがその理由として, 当時の製法が玄米または低精白米を使用したことが推察された。
    4.アミノ酸含量は, 測定した20アミノ酸全てについて現在の清酒に比較して少なく, 特に塩基性アミノ酸及び含硫アミノ酸が少なかった。
    5.酢酸エチル, 酢酸イソアミル, イソアミルアルコール, イソブチルアルコール及びn-プロピルアルコールの香気成分が同定された。
    6.アルコール濃度は約2%と低く, 貯蔵開始時の容積の約35%が蒸発したためと考察した。
    7.以上の結果から, 当初詰められた酒は糖分と酸の多い現在の酒母に近い酒であったことが推察された。
    最後に, 243年古酒を提供していただいた渡邉家保存会理事長渡邉和彦氏に厚く御礼申し上げます。また, 本報告にあたりご協力賜りました大洋酒造 (株) 平田大六氏に深謝いたします。
  • 橋口 知一, 山田 修, 鈴木 英彌, 藤田 正邦
    1999 年 94 巻 9 号 p. 733-736
    発行日: 1999/09/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    吟醸酒の酒質と膠中の酵母密度に関する知見を得るため, 酵母密度を重層法により測定したところ, 留後20日目においては, 1g当たり5,600万個から2億6千万個と大きな差が見られた。成分分析値, 官能評価及び膠経過についての各項目間の相関係数を求めたところ, 20日目酵母密度と最高温度, 最高温度到達日数, 酸度, 渋味との間には, 負の相関が見られた。渋味の強弱についてのt検定の結果から, 渋みの強い酒は, 酵母密度が少なく, 糖化力が強く, 膠日数が長く, 製成酒の日本酒度が小さいという結果となった。これらのことは, 渋味は膠中の酵母が不足した場合に増えるという予想と一致した。
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