日本醸造協会誌
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96 巻, 5 号
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  • 小川 喜八郎
    2001 年 96 巻 5 号 p. 291
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
  • 岩田 修二
    2001 年 96 巻 5 号 p. 292-297
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    近年食品の安全性に対する消費者からの要求は非常に高いものがあります。安全文化を創り出すマネ-ジメントについて、現場で品質に関する仕事に長期間携わってこられた筆者に事故防止の観点から解説いただいた。
    日本酒組合中央会が作成し, 各酒造場に配布した手引き書「清酒の品質と安全を確保するための製造管理システム」とあわせてご覧いただきたい。
  • 柏田 修作
    2001 年 96 巻 5 号 p. 298-306
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    人々がビールの善し悪しを判断するには五感のすべてを用いている。とりわけ,“香味”(嗅覚, 味覚, 触覚),“色”(視覚),“泡”(視覚, 聴覚),“濁り”(視覚),“噴き”(視覚) といった要素は, お客様から見て重要な品質である。
    使用する麦芽の特徴によって大きく左右される色を除いて, 香味, 泡, 濁り, 噴きについて解説する。
  • 工藤 哲三
    2001 年 96 巻 5 号 p. 307-313
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    焼酎製造の副物産である蒸留粕は, 環境問題の国際的な高まりから, 近年海洋投入処分が難しくなってきており, 陸上処理への転換が強く求められている。これまでいくつかの有力な陸上処理方法が開発され成果を上げつつあるが, 焼酎製造場の地理的, 資金的等の個別事情により、これらの処理方法が必ずしもすべての製造場に適用できるとは限らず, 新たな処理方法の開発期待が根強くある。
    本稿では, コンポスト化技術を活用して, 発酵終了物を再利用する方法により焼酎蒸留粕の減量化に取り組んで来られた筆者に, 実験デ-タに基づきその実情を詳細に解説していただいた。
  • 寺本 祐司
    2001 年 96 巻 5 号 p. 314-318
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    日本では, ハチミツ酒を口にする機会は少ないが, その歴史は古くヨーロッパの神話や伝説にも登場する。ハチミツ酒はハチミツを単純に水で薄めてアルコール発酵させるだけでなく, ホップ, ハーブ, 薬草やスパイスなどを加えて作り, 機能性を有する嗜好飲料である。市販されている各国のハチミツ酒も紹介してもらった。
  • 編集部
    2001 年 96 巻 5 号 p. 319-347
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    20世紀締めくくりの年の味噌研究業績は, 日本経済の推移を反映するかのように, やや低調であった。しかし, その中にあって新世紀を迎えるに相応しい新しい展開が望めそうな気配が僅かに感じられる。すなわち, 麹菌をはじめとする微生物の分子レベルでの研究が動き出し “遺伝子” の項が, さらに従来, 前向きに検討されることが少なかった食品の機能性にかかわる研究が数多く認められるようになり “機能性” の項が, この業績集に設けられたことである。これらを基に, 新しい切り口での研究開発が進められ, より一層の味噌の発展がなされることを期待したい。
    食酢の研究業績をみると原料及び原料原料処理の分野では野菜や果実を使用した食酢の試作が多く, 微生物分野では, 微生物繊維の生産に関与するセルロース生産菌の代謝・生理機能を取り扱った研究課題は昨年同様, 日本のみなぢず海外での研究も多い。
    酵素・遺伝子分野では酸化酵素の研究が多いのは当然と考えられる。
    仕込・醸成・ろ過の分野ではバイオリアクターやプロセス制御での造酢, その他の分野では, 日本に於ける食酢の機能性に関する研究が数多く見られた。
  • 2001 年 96 巻 5 号 p. 347
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
  • 水間 智哉, 古川 幸子, 中村 智美, 清川 良文, 柳内 敏靖, 若井 芳則
    2001 年 96 巻 5 号 p. 349-359
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    平成3~8年産の原料米17品種23産地品種を用い, 諸性質について分析を行い, さらに清酒醸造試験に供した。また, その結果について統計的手法を用いて要約を行った。
    (1) 原料米成分, 消化性分析, 醸造試験の各分析項目において, 米穀年度の影響が少なく明確な品種特性を示す項目として, 玄米千粒重, 70%精米必要時間, 20分吸水率が挙げられた。その他の項目は, 各分析項目に与える品種特性と米穀年度特性の影響は同程度であった。
    (2) 記録的な不作となった平成5年産米は, その他の米穀年度とくらべて粗蛋白含量が高くなった。醸造試験においては, 発酵の進行がゆるやかになり, 日本酒度の切れが悪い, アルコール生成が遅い, 香気成分が低いなどの傾向がみられた。また製成酒は酸度が高い特徴となった。
    (3) 同一品種 (日本晴) における産地間, 米穀年度間の差について比較検討した結果, 産地間に有意な差異がみられた分析項目としては玄米千粒重, 20分吸水率, 粗蛋白含量が挙げられ, 米穀年度に差異がみられた分析項目では消化性は蒸米吸水率, ボーメ, 直糖, 全糖であり, 醸造試験では日本酒度, アミノ酸度であり, 酒造適性に関する重要な項目が含まれていた。
    (4) 醸造試験結果を用い, 各産地品種についてクラスター分析を行った結果,
    (1) 発酵速度が遅く, アミノ酸度が高い性質を有する日本晴を中心としたグループ。好適米の五百万石 (京都), 幸玉 (島根) においても, 同様の性質を有したため, このグループに属した。
    (2) 粗蛋白含量が低く, アミノ酸度の低いグループ。
    (3) カリウム含量が高く, 発酵速度の早いグループ。このグループに属する品種は遺伝的にも近縁であった。(4) アミノ酸度がやや高く, イソアミルアルコール, 酢酸イソアミルなどの香気成分の生成が高いグループ。(5) 品種固有の特徴を有するグループ。
    などのもろみ状態および製成酒の特徴を明確に表す5つのグループに分類された。
    (5) 醸造試験結果を用い, 各年度毎に因子分析を行った結果, 抽出された因子項目および寄与率は米穀年度に関わらず類似しており, 製成酒の特にアミノ酸やペプチドに由来する味に関する因子が常に寄与率の最も高い第1因子であった。各品種の因子得点には米穀年度による変動がみられ, さらに品種による変動にも大小がみられた。
  • 新規サワーブレッドの開発
    大西 博司, 鍛治谷 孝, 岡田 寿, 森 治彦, 高木 誠一
    2001 年 96 巻 5 号 p. 360-367
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    食経験のある安全で安心な醸造微生物である日本酒の “きもと” 由来の低温生育性乳酸菌L.sakeiと乳酸資化性を有するビール酵母S.cervisiaeを用い, 10℃ という低温下で生地を発酵させ, 安定なサワー種を調製することに成功した.このサワー種による新規なサワーブレッドの開発において, 乳酸菌が製パンに果たす役割について明らかにするとともにヘテロ発酵型乳酸菌を併用して本格的なサワーブレッドの製造に成功した。
    (1) 低温生育性乳酸菌L.sakeiを含む乳酸菌添加パンの最適生地発酵時間は, 25℃, 18時間であることを認めた。この時, パン生地のpHは3.9まで低下し, TTAは8.8であった。この値は乳酸菌無添加生地に比べ約5倍であった。
    (2) 乳酸菌無添加パン生地に比し, 乳酸菌添加生地ではガス発生量が57%に低下し, さらにパン容積55%, 高さ70%と生地物性の低下を示す低い値となった。
    (3) 酢酸/乳酸の比が約0.2と, 典型的なサワーブレッドの酸味を有するものが得られた
    (4) パン生地及びパン中の全遊離アミノ酸量は, 乳酸菌の添加により増加した。特に, 各種の呈味に関与するアラニン, グルタミン酸, グリシン, アスパラギン酸, ロイシン等のアミノ酸が増加し, サワーブレッドのおいしさ向上に貢献していることが示唆された。
    (5) 食経験のある既知の醸造微生物を主体とする安全・安心なほどよい酸味の, おいしいサワーブレッドの製造方法を確立した。
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