一、諸味の調熟法として酵母酵素 (清酒酵母を使用した) を使用する場合には酵母を「アセトン」耐久酵溝の乾燥状態として使用するよりは、酵母を自家消化を行はしめて添加作用せしめた方が成績が良好である。二%より、五%の方が可良である, 而して温度は二○、二五、三○度中二五度の方は品質が上品で三○度の方は味は濃厚であるが甘過ぎると云ふ缺點が生ずる。
(二) 含糖「アミノ」酸液の調熟に於ても前同様で、乾燥酵母酵素の調熟よりは自己消化したる酵母を採用する方が味調和し優良で、温度も二五度位が良く、二%より五%添加の方が好成績を示してをる。
(三) 含糖「アミノ」酸液に「ペプトン」を添加して、更に諸味一○%を加へて調熟したるに、味の調和が順和で品質を一變する様に思ふ。
(四) 酵母酵素を調熟的作用に應用したる場合、諸味に於ては、分析上糖分の變化が現はれ、何れも減退を示したが、含糖「アミノ」酸は此の場合不明である。両酸度及「アミノ」酸態窒素の變化も判明せないが、然し官能的相違は明らかに知畳せられる、
(五) 「アセトン」酵母の「アミラーゼ」酵素は甚だ微量である、「プロテアーゼ」は「アミラーゼ」に比較し強いが、然し「タカヂアスターゼ」と比較すれば微弱である.前者は七五分の一、後十八分の一に相當するに過ぎない。
(六) 含糖「アミノ」酸液の耐久酵母による調熟作用は第二實験に於ては糖分は減少するが、総酸などが増加する傾向が現はれた。然し何れも官能的に明瞭に調熟現象を認めたのである。尚加工として味淋などを添加した場合にも標準の酵母酵素作用を消失せしめたものに比較すれば調熟的作用を表はしたことは明瞭である。
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