1) 顕成分利用の試驗として麹菌繁殖に依る發育及顕成分利用程度を調査したるにエキス分利用は可なり多きものあり。菌體の牧量も相異し, D即ち208號菌の如き旺盛のものあり。顕中の成分は半分以上, 三分の一位は利用消費せられたり。尚顕に無機化合物添加するも餘り影響を示さす。
2) 炭素給源としてはアラビノース, キシローズ, 果糖, 麥芽糖, ラヒノース, 葡萄糖デキストリン等は可良の方なり。
3) 芽胞子着生と菌絲發育は大體併行するもの多し。
4) 麹酸の生成する物質はキシロース, 葡萄糖, 蔗糖など適當なれども麹菌の種類に依り多少異なる。
5) 窒素給源としては無機鹽類蓚酸アンモニア, 酒石酸アンモニアは稍良好なり。有機物中グリココール, グルタミンは最良にして, カゼーン, ペプトン等も良好なり。
6) 麩麹を製造し其れより, ヂアスターゼを抽出しアルコールにより沈澱状となし採取し酵素力を比較したるに, 可なりの相違を示したり。糖化力はタカヂアスターゼに比較し劣るも, 液化力は強力なるものも認めらる。プロテアーゼ, リパーゼ, インベルターゼ, オキシターゼ等を試驗したるに夫々各麹菌種により可なりの差異を認めたるものあり。
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