1) 米麹の酵素力と原料米の吸水量との関係を調べるために,
Asp. oryzaeをブラスコ内で培養し, 22, 26, 及び30時間日の麹につき, acid protease, weak acid protease, alkaline protease, α-amylase, 及びs-amylase (見掛けの糖化力) の力を比較した。
2) 麹菌の繁殖 (主として破精回り) は一般に吸水量の少い米の方が良好であり, 製麹22時間の麹を除くと, protease, amylase共に, 吸水量15%(総水分量は約32%) 附近の麹の力価が最大であつた。
3) Weak acid protease力を基準にとり, 各酵素間の組成を調べると, 原料米の吸水量が増すにつれて, acid proteaseは減少し, alkaline proteaseとα-amylaseは増加する傾向がみられた。s-amylaseの方は製麹22時問では吸水量の増加に従つて減少しているが, 製麹30時間の麹に於いては逆の傾向が認められた。
4) 以上の実験から, 米麹の酵素組成は蒸米の性質によつて容易に変化し得るものであり, また, 酵素力の強い麹をつくるためには, 原料米の吸水量を少くし, かために製麹した方がよいということを知つた。
最後に本実験にあたつて薄井径子, 岩藤誠吾.守屋総下一郎, 長原吉男の諸氏の熱心な助力に対し, 謝意を表する。
抄録全体を表示