世界から収集した35菌株を同一条件の下に培養し, パン酵母菌株が実用的性質等にいかなる影響を与えるかを検討した。要約すると次のごとくである。
(1) 菌株によって蛋白質炭水化物の蓄積能が異なり, 殊にトレハコースやインベルターゼに顕著な差がみられた。
(2) 炭水化物, トレハ旨一ス含量は耐糖性と正の相関を示し, 蛋白質, 水分, インベルターゼカは負の相関を示した。
(3) ビタミン要求性との間に重大な関係のあることを認めた。
(4) 日本の菌株は外国のそれに比べて, 食パソ適性に劣るが, 菓子パンには非常にすぐれている。
(5) パン酵母以外の4種の酵母を同様な培養を行ってそれらのパン用酵母としての適格を検討した結果, やはりパン酵母が最もすぐれていることを認めた。
本報告の要旨は昭和年月日本農芸化学会関京支部例会において発表した。
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