日本釀造協會雜誌
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62 巻, 12 号
選択された号の論文の30件中1~30を表示しています
  • 佐藤 信, 蓼沼 誠
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1279-1287
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    清酒の色については古くから多くの人によって研究されてきたが, 最近になって特に新しい知見が数多く発表されている。そこで, ここ3年程前から清酒の色についての研究と熱心に取り組んでこられた筆者に, 筆者等の研究を中心として, まず清酒の色全般について概説して頂いた。
  • 蓼沼 誠, 佐藤 信
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1288-1295
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    鉄により清酒が着色することは, 昔から良く知られている。最近この原因が, 大部分麹菌が生産するferrichmme (フェリクローム) 類, 特にferrichrysin (フェリクリシン) によることが明らかとなった。Ferrichrome類は清酒中でぼ着色に関係するのであるが, おもしろいことに, その他に抗菌性を持つ場合や, 逆に抗菌性を打消したり, 微生物の生育を促進したりする作用もある。そこで, 清酒の着色の関係から, 広くferrichrome類の一般的性質を解説していただいた。
  • 佐々木 定
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1296-1300
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    塩化アルミニウムの脱色・着色防止効果は古くから認められていて, 現在では広く実用されているが, その効果の機構についてはいろいろな憶測がなされて来ただけで不明であった。しかし最近, 清酒中にフェリクローム類の存在が証明されたため, 塩化アルミニウムの効果の機構は, 霧の晴れるように明らかになった。
  • 柴崎 一雄, 浅野 三夫
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1301-1308
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    味噌の色は, その商品価値の大半を支配するといってよい。そこで, その測り方はどうすればよいか。さらに, 産地別の味噌の色はどうなっているのか。このような問題に答えて頂いた。
  • 古田 忠夫
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1309-1313
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    近年, しょう油の色も次第に淡色が好まれるようになってきた。そこで, 物理化学的着色抑制法, 抗酸化剤による着色抑制法, 吸藩剤による脱色法などあらゆる角度から, 淡色しょう油を得るための手段を広範囲に解説して頂いた。
  • 小高 愛親
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1314-1317
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    食品中における食品添加物については, いろいろと新聞紙上をはじめとしてマスコミに取りあつかわれ, 消費者の関心を集めているところであリ, 国民の保健衛生上極めて重要な問題である。政府は現在昭和22年制定の食品衛生法により, 添加物の規制を行なっているが, 学術の進歩に伴い安全性の評価が厳しくなり規制の変更も行なわれている。筆者はこのような現状から, 食品メーカー, 添加物メーカーに対し, 食品添加物行政の動向について注意を怠らないよう強く呼びかけている。
  • 佐藤 義雄, 鷲頭 昇一, 村尾 秀一, 久次 義夫, 松本 登喜一
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1318-1328
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
  • 石川 弥八郎, 鈴木 明治, 佐藤 健司, 吉野 敏夫
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1329-1335
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    本年度の清酒製造業近代化については昭和42年度実施計画において, 技術面については品質を, 経営面についてはマーケッティング提携桶取引を重点事項としてとリ上げられ, これらに関して必要な環境の整備も進められて来たが, この機会に官界業界の各リーダーにお集リ願い, 近代化を中心として, 今年の清酒業界をかえりみて種々お話をしていただくことにした。第1次の近代化も来年度で終了し, 引きつづき第2次近代化計画をも考えられていると聞いているが, これに関連して参考になることが多々あると思う。
  • 附・しょう油諸味中の微生物
    松本 憲次
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1348-1352
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    「これからのしょう油」は回を重ねて第7報にいたった。もろみのなかの微生物については松本先生にお願いするのが極めて妥当であろうと考えた。先生はこの申出を快諾され, 既往の研究はもとより, 最近の報文まで余すところなく記述された。しかも大正時代からの先生御自身の実験室で研究された業績もわかりやすく解説されている。「これからのしょう油」の全篇はこれが加わったことによって一層の輝きをますであろう。
  • 菅野 信男
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1353-1358
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
  • 中村 欽一
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1359-1364
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
  • 百瀬 洋夫
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1365-1367
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
  • 糖類, 有機酸およびその他の成分
    海老根 英雄
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1368-1373
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
  • 新酒オリのろ過処理の操作条件の検討
    永谷 正治, 外池 良三
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1387-1390
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    清酒醸造工程において, 上槽に引き続いてオリ引きがおこなわれる。また, タンパク混濁を処理するいわゆるオリ下げも同様な原理によって固形分を凝集, 沈降させて分離しているが, そのため数日にわたり静置の必要がある。これを迅速化するため, セライト等のろ過助剤を用いてケークろ過する方法が時に行なわれるが, 助剤の必要量およびろ過の能率についての基礎的な資料は見当らない。
    本報では恒圧ろ過式を用いてオリのろ過比抵抗を解析し, ろ過操作条件の計算に必要な数値をえたので報告する。
  • 高濃度アルコールで処理したケークの比抵抗について
    川崎 恒, 麻生 直次郎, 永谷 正治
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1391-1392
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    清酒製造工程の合理化の最大のネックとされているもろみのろ過・圧搾は、もろみ固型分が大きなろ過比抵抗をもち、また圧縮指数が高いため大きな装置と長時間を要する。
    この作業に要する人手を省くために槽に代って圧搾機械が最近開発されたが, これと別のアプローチとしてケークの物性を改良し, ろ過し易くする方法について検討したところ, 高濃度アルコール中でもろみ固型分のろ過比抵抗が約1/10に低下することを見出し, 応用上有望と思われるので結果を報告する。
  • 清酒中のFerrichrome類化合物とその非含鉄化合物の由来
    佐藤 信, 岩永 哲朗, 蓼沼 誠
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1393-1396
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    清酒中のferrichrome類化合物とその非含鉄化合物 (deferriferrichrome類化合物) の由来を検討した。蒸米や清酒酵母中にはferrichrome類化合物およびその非含鉄化合物は存在せず, 米麹中にのみそれら化合物が存在した。この結果, 清酒中のferrichrome類化合物とその非含鉄化合物は蒸米上にAspergillms oryzaeが生育して生産されることがわかった。それらの化合物では清酒と同様ferrichrysinが最も多く米麹中に存在したがその大部分は非含鉄の形であった。
    酵母中の着色物質としてはフラピソ化合物が着色物質として大きな割合を占め, riboHavin, Havin mononucleotideおよびflavin adenine dinucleotideが存在した.
  • Ferrichrome類およびその非含鉄化合物の生産条件
    蓼沼 誠, 矢尾 武広, 清水 克己, 佐藤 信
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1397-1401
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/29
    ジャーナル フリー
    Aspergillms flavms oryzaeについてferrichrome類化合物とその非含鉄化合物の生産条件を調べた。Asp. flavus oryzae RIB 202菌は用いた培地では液体培養や平面培養ではほとんどferrichrome類化合物およびその非含鉄化合物を生産せず, 蒸米上に菌が生育した時に特に多量のferrichrome類化合物とその非含鉄化合物を生産した。
    次に各種麹菌で米麹をつくり, 生産されたferrichrome類化合物の種類と生産量を比較した。
    Asp. flavms oryzae, Asp. terrms, Asp. tamariiは主にferrichrysinまたはferricrocinを生産し, Asp. nigerやその他の黒麹菌は主にferrichromeを生産した。また, それら化合物の大部分は非含鉄化合物の状態で存在した。
  • 脱色試験法 (その3)
    佐藤 信, 奥田 利光, 蓼沼 誠
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1402-1405
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    各種アミノ酸とグルコースを加圧下で加温し, メラノイジンを調製した。調整したメラノイジンの活性炭による脱色率と清酒および醤油の活性炭による脱色率との相関をみた。トリプトファン, フェニルアラニン, ロイシンおよびアルギニン等から得られたメラノイジンの活性炭による脱色率は清酒および醤油の活性炭による脱色率と高い相関を示した。その結果, メラノイジンが醸造用活性炭の脱色試験用標準色となり得ることがわかった。さらにトリプトファンーメラノイジンの調製条件を検討した。
  • (第1報) 実地醸造における塩化アルミニウム添加酒と無添加酒の比較
    佐々木 定, 斎藤 和夫, 田中 利雄, 伊藤 康, 蓼沼 誠, 佐藤 信
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1406-1409
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    31場の酒造場から採取したAICl3・6H2O添加酒と無添加酒62点について, 色度, EDTA添加により脱色される色度, 鉄添加によって増加した色度などを測定し, 次の結果を得た。
    1) 大部分の酒造場の場合, 生酒, 火入れ酒共に色度はAICl3・6H2O添加酒のほうが薄いが, 全く効果のない酒造場もあった。
    2) 火入工程の色度の増加は, 両者に全く差を認めなかった。
    3) EDTAによる脱色量, すなわち清酒中のフェリクローム類 (含鉄) の関与する色度は, AICI3・6H2O添加酒のほうが著しく少なかった。すなわち塩化アルミニウムの着色防止効果は, 鉄の関与する発色を抑制することが1原因であると推定された。
    4) 鉄添加によって増加する色度, すなわち非含鉄フェリクローム類などが関与する色度は, AIC13・6H20添加酒と無添加酒との問に差がなかった。
    5) EDTAによる脱色量および鉄添加によって増加する色度は, 製造場によって著しく相違した。
    6) AIC13・6H2Oの着色防止効果と, 仕込水にAIC13・6H2Oを使用しなかった試料のEDTAによる脱色量との間には, 正の相関関係 (r=0.5532**, n=31) があった。
  • 柴崎 一雄, 浅野 三夫
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1410-1414
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    本場仙台味噌の色を昭和35~39年にわたって測定した結果を先に報告したが, この際数年先の色が予想されたので, 昭和41年11月の鑑評会の上位入賞品について測色した。その結果, 平均値でみると明度において今までのようにはその値が増さず, 色相は僅かであるが黄色が強くなり, 彩度は極めて僅か低下し予想とはやや異なった結果が得られた。さらにこの結果を全国鑑評会の赤色系辛口味噌の秀, 優入賞品と比較検討した。
    また宮城県下の自家醸造の味噌が入手できたので, これら自家醸造農家をひかえた各町の工場製品を比較に用いながら同様に測定, 検討し, あわせて県鑑評会上位入賞品とも比較を行なった。
  • ハルマンの各種醸造物中の分布と対微生物生理作用
    高瀬 澄夫, 酒井 佑, 佐藤 仁一郎, 村上 英也
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1415-1422
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    展開剤に3%NH4Clを用いるセルロースカラムグロマトにより各種醸造物のエーテル可溶塩基性区分を2つの区分に分画した。先に溶出する区分がハルマンを含むことをペーパークロマトとUVスペクトルによって確認し, この方法で清酒, ピール, ブドウ酒, 味噌, 醤油に共通してハルマンが存在することを明らかにした。
    ペーパークロマトグラムよりスポットを切り抜き, 1NHClで抽出した濾液の螢光を測定して各醸造物のハルマンを定量した。
    生酒のハルマン量は1.1ppbであったが1年貯蔵後には14ppb, 3年貯蔵後には340ppbに増加した。市販醤油には12.ppb, 味噌には5.8ppbのハルマンを検出した。ビール, ブドウ酒, 本みりんには少なくいずれも2.2ppb以下であった。
    ハルマンはかび, 酵母, 乳酸菌の生育を抑制し, 火落菌の生育を促進することが認められたが, いずれも高濃度 (0.02~0.08%) でしか有効でなかった。また, かび, 酵母, 乳酸菌に対する生育抑制作用は天然培地 (麹エキス) 中では弱まった。
  • 本馬 健光, 押川 和夫, 松田 利庸
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1423-1426
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    (1) 清酒中の銅定量について2, 2'-ジキノリール法を採用し, 比色定量の種々の条件について検討を行なった。
    (2) その結果2, 2'-ジキノリール法は再現性も極めて良く, 安定した方法であり, 清酒中の銅定量に使用出来ることが分った。
    (3) 調合原酒の輸送から壕詰までの工程別の金属銅の溶出経路について調査した。
    (4) その結果, 輸送, 濾過, 壜詰の機器は銅, 砲金製であると, 銅の溶出が見られるのでその操作方法について実情を熟知して使用することが必要であるし, 又, ステンレス製にすることによって完全に防げることが分った。
  • 実験計画法による製造要因に関する研究
    矢野 忠徳, 山本 公平, 斎藤 宏, 高山 卓美
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1427-1432
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    1) 4品種の青梅 (鶯宿, 長束, 白加賀, 養老) を使用し, アルコール濃度, 砂糖濃度および浸漬期間の3つの製造要因を, L4 (23) 型直交表に割りつけ, 合計16種の梅酒を仕込み, 梅酒の品質および各種歩合におよぼす影響について検討した。
    2) 粕歩合に対して, 品種は5%有意水準で有意であり白加賀が最も低く, 品種は大粒で適度に熟したものが良かった。アルロールおよび砂糖濃度は1%有意水準で有意で, いずれも濃度の高い方 (60%および70%) が低かった
    3) 酸溶出量に対しては, 品種は1%有意水準で高度に有意で, 長束>鶯宿>白加賀>養老の順に多かった。砂糖濃度は1%有意水準で有意で濃度の高い方が, 又浸漬期間は5%有意水準で有意で浸漬期間の短い方が多かった。
    4) アルコール回収率に対しては, 砂糖濃度のみ1%有意水準で有意で, 濃度の高い方が良かった。
    5) 色度に対しては, 品種は1%有意水準で有意であり, 長束>白加賀>鶯宿>養老の順に濃かった。アルコール濃度は1%有意水準で有意で濃度の高い方が, 砂糖濃度は5%有意水準でいずれも濃度の高い方が濃かった。
    6) 官能検査の結果, FISHER法では, 品種は5%有意水準で有意であり, 養老>白加賀>長束>鶯宿の順で良かった。砂糖濃度は1%有意水準で有意で低濃度の方がよかった。RANKIT変換法では, アルコール濃度が1%有意水準で有意で低濃度のものが良く, 砂糖濃度は5%有意水準で有意であり, 低濃度のものが良かった。
  • Pseudomonas属菌の応用
    芦沢 長, 林 光二
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1433-1436
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    先に報告したPseudomonas sp. を亜硝酸生成菌として実際の山廃酒母の育成に応用したが, このPseudomonas sp. は糖分の蓄積によって増殖が阻害されるのでEnterobacteria系のものよりも高い接種量を必要とし, 105/g程度が適当であった。
    しかし, この菌は酒母の初期で増殖して亜硝酸の生成を確実にし, しかも過度に増殖しないので亜硝酸を無駄に消失することがなく, 生酸が遅れてもNO2-を残存させるので, 山廃酒母の育成過程の管理は極めて容易となった。
  • 越山 育則, 鹿島 春海, 野村 圀夫, 井口 信義
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1437-1442
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    醤油諸味仕込初期における窒素成分の溶出, 特にアミノ酸の溶出について検討を加え次の結果を得た。
    1) 麹の球態で存在する遊離アミノ酸量は僅かであるが, 可溶化されている窒素は出麹中の総窒素の約20%であった。
    2) 大半のアミノ酸は諸味状態になって急激に溶出し仕込後1か月を経過すると最終生場醤油中に存在するアミノ酸の約70%が溶出してしまう。しかしその溶出速度は各アミノ酸でかなり差がある。
    3) チロシンの諸味液汁中に最も多く溶けている時期は仕込後約1週間でこの時期を境にし烈しく折出し同時に液汁中に溶けている量も減少してくる。
    4) 折出したチロシンの大半は最終的に醤油粕に移行し麹中に存在するチ緯シソのうちで遊離チ獄シンとして粕に移行する量は約40%であり, 醤油中に残った量は約14%であった。また粕全体に存在するチロシソ量は出麹中のそれの約60%であった。
    5) 醤油粕中のアミノ酸組成は大体醤油のそれと似ているがチμシンが多くフェニールァラニン, ロィシンがそれに次いで多い。特に醤油粕の水抽出液中のチロシンは他のアミノ酸に比して断然多く, 抽出される総窒素の約10%をチロシンに由来する窒素が占めた。
  • 処理条件と大豆の色, 水分, 固さの関係
    好井 久雄, 細川 信男
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1443-1448
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    味噌用大豆の原料処理において, 浸漬時間, 蒸煮条件が蒸し豆の水分, 色, 固さ, 消化性などにどのように影響するかを試験した。
    1. 浸漬時間の長短により, 浸豆の色にはいちじるしい差を生じ, 時間を長くするほど大豆の明るさ (Y%) は増大する。
    2. 蒸煮中に大豆水分の変動はほとんど無く, 浸漬中の吸水度によって蒸し豆の水分が規整される。
    3. 一般に蒸煮条件を強くすると大豆の着色は進み, Y%の低下は大きいが, それにも増して蒸し豆の明るさに大きな関係をおよぼすのは, 浸漬大豆自体の色であって, 浸漬時間の短いものは暗く, 長いものは明るく蒸し上る。
    4. 強く蒸せばある程度固さは減るが, 浸漬時間の短い大豆は, 長時間浸漬した大豆にくらべ相当固く蒸し上り, かつ後者は加熱程度を強めることにより軟化度が大きい。かような点から, 蒸煮大豆の固さに対しても, 大豆の吸水度の多少が大きな関係をもつことを推定した。
    5. 蒸煮大豆の消化性は, 蒸しの条件を強くすれば若干減少するが, 工業的に採用されている諸条件ではいちじるしい消化性の差違は見られない。
    これらの結果から, 味噌用大豆の原料処理においては, 蒸煮条件もさることながら, むしろ浸漬時間の長短が蒸し豆の水分, 色, 固さにきわめて大きく影響する様相を明らかにし, 蒸し豆を明るく, 軟かく仕上げるには浸漬時間を長くして充分吸水させることが有効といえる。
  • Waxy corn gritsおよびWaxy corn flourの酵素消化について
    今井 富雄, 入江 淑郎, 若林 富治, 太田 賢, 橋岡 利尚, 石家 駿治, 梅本 春一
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1449-1452
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    1. Waxy corn flourはグルクザイム等の糖化酵素およびプロザイム等のタンパク質分解酵素によりよく消化され, 50~60%の高濃度仕込みが可能である。
    2. Waxy corn gritsはセルロシンAPにより充分とかしうるが, 液化酵素および糖化酵素と併用するとさらにその効果が大となる。
    3. Waxy cornの消化液は糖分, アミノ酸含量および栄養価の面より, 充分調味料として利用しうる。
  • (第2報) 加州米の処理および発酵の条件と清酒の外米臭
    川崎 恒, 菅間 誠之助, 大内 弘造, 麻生 直次郎, 加藤 邦昭
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1453-1455
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    加州米を四段仕込に利用すると, 火入後の清酒の外米臭は感知されなかったことから, アルコール発酵と清酒の外米臭発生との関係について検討した。
    掛流し処理を行なうと, 見掛上清酒の外米臭が減少する場合もあるが, 仕込水にリン酸カリを加工すると清酒の外米臭は強くなる。また仕込水の使用量を増加すると清酒の外米臭が強くなること等を官能検査の結果から認めた。
  • デンプン粒子とその粒子間物質の検討
    柴田 豊太郎
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1456-1466
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    早期栽培米の異常性をあきらかにする目的で, デソプン粒子およびその粒子間物質に顕微鏡的な検討を加えた結果, 次の事実を知った。
    (1) デンプン粒は直径5~6μ程度の五角錘台の結晶構造を有する。
    (2) デンプン粒はレシチンよりなる膜で被覆されている。
    (3) Cの腹部生デンプソ粒は, Dのそれに比べて亀裂がみられるものが多く, 蒸されたデンプン粒でも結晶構造が失われて崩壊したものもみうけられた。
    (4) 蒸し米腹部切片のタカジアスターゼによる消化試験では, CはDに比べて著しく早く分解された。
    (5) 米エキスは乾燥するにつれて規則的な構造をとり, 磁気に感応し, 電気的な現象が観察され, その結合反応は紫外線照射によって促進された。
    (6) 米エキスの乾燥度が進行すると, 透明なガラス状となりEosinによく染色され, 面の直角方向から入射する光を強く反射する性質を示した。
    (7) デソプン粒は急乾燥されると容易に崩壊する。
    (8) 早期栽培米の蒸し吸水率がたかい一因として, 米粒の急乾燥が原因して, デンプン粒に亀裂を生じ, 過剰の水を含んで蒸されるためであろうと推論した。
    (9) 早期栽培米の腹部において好塩基性物質が水分と共に移動する過程で, それがもつ塩類イオソをデンプン細胞層に置き去りにするため局部的にその濃度がたかまり, デンプン粒に大きな影響をあたえる可能性を示した。
  • 佐伯 宏
    1967 年 62 巻 12 号 p. 1467-1468
    発行日: 1967/12/15
    公開日: 2011/11/04
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