リンゴ酸一尿素一糖蜜培地にタンク培養して得た協会7号酵母を用いて酒母省略仕込を行ない, 踊日数を1日または2日にした場合の膠について普通仕込法との酵母の消長, 成分変化、状貌を比較検討した。
1) 酵母数の消長は各仕込とも品温経過と密接に関連しゴ膠初期においてやや異なるが最大酵母密度に達したのちはいずれも同様に漸減の傾向を示した。最大酵母密度は16.3~17.1×107/mlで、特に大きな差は認められなかった。
2) T。T.C.の染色性による膠酵母中の協会7号酵母の占める比率は酒母省略仕込法の方が概して高く推移した。
3) 酵母の増加率は普通仕込法に比らべ酒母省略仕込法が著しく高かった。
4) 膠の成分経過はいずれの仕込法も大きな相異はないが,'概して酒母省略仕込法の方がボーメの出が良く, アルコールの生成量も多い傾向が認められた。アルコール添加前の膠濾液のタービディティおよび色度はほとんど差がなく良好であった。
5) 膠の状貌は初期にやや異なったことと、普通仕込法が末期に薄いしぶ皮をはったほかは膠経過の遅速を認める程度の差であった。
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