FREUNDLICHの等温吸着式が, 活性炭による清酒成分の吸着に適用できるかどうかを調べた。その結果, FREUNDLICHの吸着式は, 清酒中の着色物質や, フエニルアラニン, チロシン, チロソール, ferrichrysinおよびリボフラビン等の0-25%アルコール溶液について, 適用できた。
吸着率は, 活性炭の使用濃度が一定の場合, 吸着質の初発濃度によって変り, また, 吸着質の初発濃度と吸着率の関係はFREUNDLICHの式 (考察 (2) 式) の係数
nの値からも推定できる。すなわち,
n>1のときは, 吸着質の初発濃度が高いほど吸着率は低くなり,
n=1のときは, 吸着質の初発濃度によらず吸着率は一定となり, 0<
n<1のときは, 吸着質の初発濃度が高いほど吸着率も高くなる。
さらに活性炭による各種成分の吸着に対するアルコールの影響を調べた。その結果, アルコール濃度が高いほど, FREUNDLICHの式の係数
nおよびkの値は減少した。
ferrichrysin, リボフラビンおよびDL-フェニルアラニンの活性炭による吸着率はアルコール濃度が高くなるにつれ減少したが, カラメルおよびDレトリプトファンーメラノイジンの吸着率は, アルコールによりほとんど影響されなかった。
抄録全体を表示