東南アジア産Indica系の米は内地米に比して蒸しが固く麹菌酵素による溶解性が悪いので, その原因を究明する為実験を行い吸水率と溶解性の関係についてしらべた。
1) 蒸しの吸水率を色々に変えた場合のアミラーゼによる溶解性の変化をしらべた結果, 吸水率を上げると蒸し米の溶解性は良くなり, 吸水率が110%になれば事実上内地米と外米の差はなくなった。
2) 定期的に外液を新らしい酵素液とかえてやって経日的な溶解状態の変化をしらべた結果, 内地米と外米では明らかに溶解パターンが異なり, 内地米は初期に大きな溶解のピークが見られるのに反し外米は丘状のなだらかな曲線が得られた。外米も蒸し吸水率が高くなると内地米型に近づいた。
3) 米を粉砕して種々の粒度の粉末を作り, これを蒸して糖化試験を行った結果, 吸水率が低い場合は粒度による差が生じ, 微粉末にした方が溶解性は向上したが, 吸水率が100%近くなれば, 粒度による差は見られなくなった。吸水率90%の場合の溶解曲線を見ると, 外米の場合粒度が40メッシュのときは典型的な外米型を与えるが60メッシュと細かくなると内地米型に近づいて行った。併し, 還元糖の総生成量は内地米よりは外米の方が劣っていた。
4) 水の量を極端に多くした場合として米粉の5, 10, 15%の煮沸サスペンジヨンにした場合には内地米と外米との溶解性の差異はなくなった。
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